盲腸固定術後に発症した上腸間膜動脈症候群の1例

45歳, 女性. 移動盲腸に伴う盲腸軸捻転症にて捻転解除術と傍結腸溝後腹膜への盲腸固定術を施行された. その1カ月後に嘔吐と腹痛にて受診した. CTにて十二指腸下行部の著明な拡張を認め, 同水平部が上腸間膜動脈 (以下, SMAと略記) に圧迫され狭窄していた. 3D-CTでSMAと大動脈間角度の鋭化および両者に十二指腸が挟まれ圧排されていることが確認され, さらに上部消化管造影でも, SMAで直線状に分断された同水平部が確認され, これら所見よりSMA症候群と診断した. イレウス管留置にて一旦改善したが, その1カ月後に再び同病態を呈した. このため, 十二指腸下行部空腸側々吻合術を施行した...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 68; no. 9; pp. 2347 - 2350
Main Authors 名和, 正人, 北村, 文近, 川越, 肇, 立花, 進, 土屋, 十次, 熊澤, 伊和生
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2007
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.68.2347

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Summary:45歳, 女性. 移動盲腸に伴う盲腸軸捻転症にて捻転解除術と傍結腸溝後腹膜への盲腸固定術を施行された. その1カ月後に嘔吐と腹痛にて受診した. CTにて十二指腸下行部の著明な拡張を認め, 同水平部が上腸間膜動脈 (以下, SMAと略記) に圧迫され狭窄していた. 3D-CTでSMAと大動脈間角度の鋭化および両者に十二指腸が挟まれ圧排されていることが確認され, さらに上部消化管造影でも, SMAで直線状に分断された同水平部が確認され, これら所見よりSMA症候群と診断した. イレウス管留置にて一旦改善したが, その1カ月後に再び同病態を呈した. このため, 十二指腸下行部空腸側々吻合術を施行した. 術後経過は順調でその後再発は認めていない. 本症例の発症病態として, 盲腸固定術による腸間膜の尾側への牽引によるSMAの直線平坦化や術前後の栄養低下によるSMA周囲の脂肪織の減少がSMAと大動脈間角度の鋭化をおこしたことによるものが考えられた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.68.2347