S状結腸癌の孤立性小腸転移の1例

症例は68歳,女性.2006年にS状結腸癌に対しS状結腸切除術(D2)を施行した(fStageIIIb).2008年以降イレウスにて入院を繰り返したがすべて保存的治療にて軽快した.2009年6月イレウスのため再度入院し,腹部CT検査で回腸の壁肥厚を認めた.ロングチューブからの造影検査で回腸末端より口側20cmに腫瘤陰影を認め,小腸腫瘍によるイレウスと診断し同月に手術を施行した.回腸末端より20cmに径60mm大の全周性腫瘍を認め,回腸部分切除術を施行した.切除標本の病理組織学的検査では免疫組織学的染色,KRAS遺伝子変異も含めS状結腸癌と小腸腫瘍は酷似しており,小腸腫瘍はS状結腸癌の孤立性小腸...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 71; no. 8; pp. 2038 - 2042
Main Authors 菊永, 裕行, 三上, 修治, 木下, 智成, 藤田, 晃司, 熊井, 浩一郎, 森, 克昭
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2010
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.71.2038

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Summary:症例は68歳,女性.2006年にS状結腸癌に対しS状結腸切除術(D2)を施行した(fStageIIIb).2008年以降イレウスにて入院を繰り返したがすべて保存的治療にて軽快した.2009年6月イレウスのため再度入院し,腹部CT検査で回腸の壁肥厚を認めた.ロングチューブからの造影検査で回腸末端より口側20cmに腫瘤陰影を認め,小腸腫瘍によるイレウスと診断し同月に手術を施行した.回腸末端より20cmに径60mm大の全周性腫瘍を認め,回腸部分切除術を施行した.切除標本の病理組織学的検査では免疫組織学的染色,KRAS遺伝子変異も含めS状結腸癌と小腸腫瘍は酷似しており,小腸腫瘍はS状結腸癌の孤立性小腸転移と診断した.大腸癌による小腸転移の多くが播種性転移であり,血行性またはリンパ行性転移が考えられる本症例のような孤立性小腸転移は稀であると考えられた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.71.2038