肺動脈が縦隔型下葉枝を有した肺癌下葉切除の2例

肺動脈は症例毎にバリエーションがある.今回我々は肺動脈の第1分岐が下葉に流入する,いわゆる縦隔型下葉枝といわれる肺動脈分岐異常の症例を経験したので報告する.症例1は60歳,女性.右下葉肺癌で胸腔鏡下右肺下葉切除を施行した.縦隔型の肺動脈分枝(A4b+肺底枝)が上肺静脈と下肺静脈の間を通り,中間気管支幹の縦隔側を走行し中葉及び下葉に分布していた.症例2は69歳,女性.左下葉肺癌で胸腔鏡下左肺下葉切除を施行した.縦隔型の肺底枝が上肺静脈と下肺静脈の間を通り,気管支の縦隔側を走行し肺底区に分布していた.肺動脈の下葉枝が縦隔型の分岐は稀で,バリエーションも複数あるため,葉間形成を先行し,その走行を確認...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 29; no. 6; pp. 786 - 791
Main Authors 安川, 元章, 東条, 尚, 河合, 紀和, 川口, 剛史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 2015
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.29.786

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Summary:肺動脈は症例毎にバリエーションがある.今回我々は肺動脈の第1分岐が下葉に流入する,いわゆる縦隔型下葉枝といわれる肺動脈分岐異常の症例を経験したので報告する.症例1は60歳,女性.右下葉肺癌で胸腔鏡下右肺下葉切除を施行した.縦隔型の肺動脈分枝(A4b+肺底枝)が上肺静脈と下肺静脈の間を通り,中間気管支幹の縦隔側を走行し中葉及び下葉に分布していた.症例2は69歳,女性.左下葉肺癌で胸腔鏡下左肺下葉切除を施行した.縦隔型の肺底枝が上肺静脈と下肺静脈の間を通り,気管支の縦隔側を走行し肺底区に分布していた.肺動脈の下葉枝が縦隔型の分岐は稀で,バリエーションも複数あるため,葉間形成を先行し,その走行を確認して処理することが,安全であると思われた.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.29.786