鈍的外傷による中葉気管支完全断裂の1例

症例は26歳,男性.交通外傷で当院に救急搬送された.気管挿管後,右緊張性気胸が明らかとなり,直ちに胸腔ドレナージを施行した.大量の気漏が持続性にあり,肺の膨張が得られなかったため,緊急に気管支鏡検査を行ったところ,気管,主気管支に異常は認められなかった.しかし,持続的な大量の気漏と,ドレナージ後も続く肺虚脱所見から,気管・気管支損傷の可能性が否定できなかったため手術を施行した.胸腔内を観察したところ,中葉気管支が起始部で完全に断裂しており,損傷が激しいことから修復困難と判断し,中葉切除術を施行した.一般に鈍的胸部外傷における気管・気管支損傷は約1%であり,中葉気管支での発生はそのうち約1%とさ...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 32; no. 2; pp. 216 - 220
Main Authors 小来田, 佑哉, 松原, 慧, 川名, 伸一, 三竿, 貴彦, 青江, 基, 吉川, 武志
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 2018
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.32.216

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Summary:症例は26歳,男性.交通外傷で当院に救急搬送された.気管挿管後,右緊張性気胸が明らかとなり,直ちに胸腔ドレナージを施行した.大量の気漏が持続性にあり,肺の膨張が得られなかったため,緊急に気管支鏡検査を行ったところ,気管,主気管支に異常は認められなかった.しかし,持続的な大量の気漏と,ドレナージ後も続く肺虚脱所見から,気管・気管支損傷の可能性が否定できなかったため手術を施行した.胸腔内を観察したところ,中葉気管支が起始部で完全に断裂しており,損傷が激しいことから修復困難と判断し,中葉切除術を施行した.一般に鈍的胸部外傷における気管・気管支損傷は約1%であり,中葉気管支での発生はそのうち約1%とされている.稀な病態であり,診断は必ずしも容易でないが,持続性で大量の気漏が認められる場合は気管・気管支損傷を積極的に疑い,早期に手術を行う必要がある.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.32.216