圧力効果を用いた蛋白質立体構造形成過程の検討

電子伝達ヘム蛋白質シトクロムc(Cyt c)における立体構造形成速度の圧力依存性から,その立体構造形成に伴い,Cyt cの分子体積は減少することが示された.このことは,Cyt cの立体構造形成に伴い,疎水性部位周辺の水分子が溶媒中へ排出されることを意味しており,蛋白質の立体構造形成過程において,その体積変化の視点から初めて疎水性部位からの脱水和過程,すなわち疎水性コアの形成を示すことができた.このような脱水和は,系としてのエントロピーの増大につながると考えられ, Cyt cの立体構造形成における構造エントロピーの大きな減少を相殺することで,立体構造形成反応を熱力学的により有利にする方向に働くこ...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inHigh Pressure Bioscience and Biotechnology Vol. 2; no. 1; pp. 1 - 7
Main Author 石森, 浩一郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 生物関連高圧研究会 2008
Japanese Research Group of High Pressure Bioscience and Biotechnology
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1882-1723
DOI10.11229/hpbb.2.1

Cover

More Information
Summary:電子伝達ヘム蛋白質シトクロムc(Cyt c)における立体構造形成速度の圧力依存性から,その立体構造形成に伴い,Cyt cの分子体積は減少することが示された.このことは,Cyt cの立体構造形成に伴い,疎水性部位周辺の水分子が溶媒中へ排出されることを意味しており,蛋白質の立体構造形成過程において,その体積変化の視点から初めて疎水性部位からの脱水和過程,すなわち疎水性コアの形成を示すことができた.このような脱水和は,系としてのエントロピーの増大につながると考えられ, Cyt cの立体構造形成における構造エントロピーの大きな減少を相殺することで,立体構造形成反応を熱力学的により有利にする方向に働くことが示唆された.
ISSN:1882-1723
DOI:10.11229/hpbb.2.1