胸膜外合成樹脂球充填術64年後に発症したG群溶血連鎖球菌による膿胸の1例

症例は83歳男性.64年前に肺結核にて右胸膜外合成樹脂球充填術を受け,順調な経過を示していた.64年後発熱を主訴に来院した.胸部CT検査等にて膿胸腔の拡大を認め,G群溶血連鎖球菌による膿胸と診断し,合成樹脂球摘出術および開窓術を施行した.開窓術から22ヵ月後大網充填術による閉窓術を行った.術後,難治性の気管支瘻のためEWSによる気管支充填術を行い退院した.1年以上経過した現在,膿胸の再発なく自立生活している.合成樹脂球充填術は1940~1950年代虚脱療法として施行された時期があった.その合併症によりまもなく施行されなくなったが,長期経過して摘出術を余儀なくされたとの報告がある.本治療を受けた...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 31; no. 6; pp. 741 - 746
Main Authors 北野, 司久, 佐野, 正明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 2017
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.31.741

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Summary:症例は83歳男性.64年前に肺結核にて右胸膜外合成樹脂球充填術を受け,順調な経過を示していた.64年後発熱を主訴に来院した.胸部CT検査等にて膿胸腔の拡大を認め,G群溶血連鎖球菌による膿胸と診断し,合成樹脂球摘出術および開窓術を施行した.開窓術から22ヵ月後大網充填術による閉窓術を行った.術後,難治性の気管支瘻のためEWSによる気管支充填術を行い退院した.1年以上経過した現在,膿胸の再発なく自立生活している.合成樹脂球充填術は1940~1950年代虚脱療法として施行された時期があった.その合併症によりまもなく施行されなくなったが,長期経過して摘出術を余儀なくされたとの報告がある.本治療を受けた症例は,高齢化し,報告例は稀となった.本例は本邦で摘出術を行った最後の症例となる可能性があり,興味ある症例と考えられた.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.31.741