川崎病に合併した冠動脈瘤に対して外科治療を施行した1例

症例は51歳,男性.近医で心電図異常を指摘され当院に入院した.10歳の時に猩紅熱で入院歴がある.冠動脈CT検査,冠動脈造影検査で,右冠動脈閉塞(RCA),左主幹部(LMT)の冠動脈瘤を含む3枝病変を認め,手術の適応となった.心停止下に動脈グラフトによる冠動脈バイパス術(CABG)および瘤切除を行った.冠動脈造影検査ではグラフトの開存を確認した.病理診断は川崎病による冠動脈瘤であった.川崎病に合併した冠動脈瘤に対する手術はCABGが基本手術であり,瘤切除を行うかどうかについての確立された治療指針はない.われわれは,瘤内血栓形成からLMTが閉塞する可能性や,冠動脈瘤の原因が確定されていないことなど...

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Published in日本心臓血管外科学会雑誌 Vol. 39; no. 6; pp. 305 - 308
Main Authors 田中, 恒有, 齊藤, 政仁, 六角, 丘, 大喜多, 陽平, 今関, 隆雄, 入江, 嘉仁, 龍, 興一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会 2010
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ISSN0285-1474
1883-4108
DOI10.4326/jjcvs.39.305

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Summary:症例は51歳,男性.近医で心電図異常を指摘され当院に入院した.10歳の時に猩紅熱で入院歴がある.冠動脈CT検査,冠動脈造影検査で,右冠動脈閉塞(RCA),左主幹部(LMT)の冠動脈瘤を含む3枝病変を認め,手術の適応となった.心停止下に動脈グラフトによる冠動脈バイパス術(CABG)および瘤切除を行った.冠動脈造影検査ではグラフトの開存を確認した.病理診断は川崎病による冠動脈瘤であった.川崎病に合併した冠動脈瘤に対する手術はCABGが基本手術であり,瘤切除を行うかどうかについての確立された治療指針はない.われわれは,瘤内血栓形成からLMTが閉塞する可能性や,冠動脈瘤の原因が確定されていないことなどから,CABGと瘤切除を選択した.しかし,今後は経皮的冠動脈形成術(PCI)による追加治療が不可能であるため,グラフト閉塞を予防することが必須であると思われた.
ISSN:0285-1474
1883-4108
DOI:10.4326/jjcvs.39.305