十二指腸腺内分泌細胞癌の1例
症例は63歳,女性.食後心窩部痛を主訴に入院となった.精査にて術前診断は膵頭部癌にて,膵頭十二指腸切除術を施行した.腫瘍は大きさ6×5×4cmで腫瘤潰瘍型であった.腫瘍の主座は十二指腸の水平脚から下行脚にあり,膵臓へ圧排浸潤性に進展していた.また,Vater乳頭部は保たれていた.腫瘍は腺癌部分と内分泌細胞癌部分の混在および移行がみられ,腺内分泌細胞癌と診断された.免疫組織学的検索では,内分泌細胞癌部分はクロモグラニンA,シナプトフィジンに対し陽性,腺癌部分はCEAに対し陽性であった.術前診断にて肝嚢胞と診断されていた病変は術後,肝転移と判明した.腺内分泌細胞癌の悪性度は高く極めて予後不良である...
Saved in:
Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 69; no. 5; pp. 1090 - 1095 |
---|---|
Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
2008
|
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
DOI | 10.3919/jjsa.69.1090 |
Cover
Summary: | 症例は63歳,女性.食後心窩部痛を主訴に入院となった.精査にて術前診断は膵頭部癌にて,膵頭十二指腸切除術を施行した.腫瘍は大きさ6×5×4cmで腫瘤潰瘍型であった.腫瘍の主座は十二指腸の水平脚から下行脚にあり,膵臓へ圧排浸潤性に進展していた.また,Vater乳頭部は保たれていた.腫瘍は腺癌部分と内分泌細胞癌部分の混在および移行がみられ,腺内分泌細胞癌と診断された.免疫組織学的検索では,内分泌細胞癌部分はクロモグラニンA,シナプトフィジンに対し陽性,腺癌部分はCEAに対し陽性であった.術前診断にて肝嚢胞と診断されていた病変は術後,肝転移と判明した.腺内分泌細胞癌の悪性度は高く極めて予後不良である.本症例も術後7カ月で多発性肝転移のため死亡した.文献検索上,十二指腸腺内分泌細胞癌の本邦での報告は14例であるが,Vater乳頭部の腺内分泌細胞癌を除けばわずか3例の報告があるのみである. |
---|---|
ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.69.1090 |