ペグインターフェロン/リバビリン併用療法を施行したクリオグロブリン血症・食道静脈瘤・腹水を有したC型肝硬変の1例

症例は44歳男性.腹満感,体重増加を主訴に当科に紹介された.20歳代よりC型慢性肝炎を指摘され,29歳より糖尿病に対し,インスリン治療を受けていた.当科入院時には多量の腹水,食道静脈瘤を認め,総ビリルビン0.3 mg/dl,AST 25 IU/l,ALT 23 IU/l,アルブミン2.1 g/dl,クレアチニン2.4 mg/dl,尿蛋白陽性と低アルブミン血症,腎障害を認めた.血清クリオグロブリンは陽性を示した.HCV RNAはgenotype 2Aでウイルス量は5.1 logIU/ml を示した.クリオグロブリン血症を伴ったC型肝硬変と診断し,食道静脈瘤結紮術,腹水穿刺排液術を施行後,ペグイン...

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Published in肝臓 Vol. 52; no. 3; pp. 163 - 168
Main Authors 道免, 和文, 下田, 慎治, 春野, 政虎, 田中, 博文, 小野原, 伸也, 入江, 真
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 2011
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.52.163

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Summary:症例は44歳男性.腹満感,体重増加を主訴に当科に紹介された.20歳代よりC型慢性肝炎を指摘され,29歳より糖尿病に対し,インスリン治療を受けていた.当科入院時には多量の腹水,食道静脈瘤を認め,総ビリルビン0.3 mg/dl,AST 25 IU/l,ALT 23 IU/l,アルブミン2.1 g/dl,クレアチニン2.4 mg/dl,尿蛋白陽性と低アルブミン血症,腎障害を認めた.血清クリオグロブリンは陽性を示した.HCV RNAはgenotype 2Aでウイルス量は5.1 logIU/ml を示した.クリオグロブリン血症を伴ったC型肝硬変と診断し,食道静脈瘤結紮術,腹水穿刺排液術を施行後,ペグインターフェロン/リバビリン併用療法を開始した.治療開始1カ月後にはHCV RNA,血清クリオグロブリンは共に消失し,尿中蛋白量も5.1 g/日から2.6 g/日へと半減した.24週の治療終了時にもHCV RNA,血清クリオグロブリンの消失が確認された.C型肝硬変,クリオグロブリン血症,クリオグロブリン血症に伴う腎障害にペグインターフェロン/リバビリン併用療法は有用であった.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.52.163