未確診肺癌に対する摘出後針生検―標本挫滅による診断不適を防ぐための工夫

微小浸潤肺腺癌を疑う術前未確診の小型肺癌においては,術中の迅速病理診断の目的で標本に割を加えてしまうと,永久標本ではその挫滅により浸潤範囲や胸膜浸潤の評価に苦慮することがある.そこで標本の挫滅を防ぎ正確な組織学的形態と浸潤度を評価するための工夫を紹介する.手術時には切除後に体外へ摘出した肺からの針生検による迅速病理で病変が含まれていることの確認に留め,術後に切除肺のホルマリン固定標本で最大割面を作成して厳密な組織学的評価を行う.本法は胸腔鏡下手術時には正確な診断が困難なスリガラス陰影を伴う肺癌に対して,微小浸潤の有無,胸膜浸潤の有無を正確に診断することができ,新WHO分類にも対応できる点で有用...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 31; no. 1; pp. 127 - 131
Main Authors 荒木, 邦夫, 万木, 洋平, 若原, 誠, 三和, 健, 谷口, 雄司, 中村, 廣繁
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 2017
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.31.127

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Summary:微小浸潤肺腺癌を疑う術前未確診の小型肺癌においては,術中の迅速病理診断の目的で標本に割を加えてしまうと,永久標本ではその挫滅により浸潤範囲や胸膜浸潤の評価に苦慮することがある.そこで標本の挫滅を防ぎ正確な組織学的形態と浸潤度を評価するための工夫を紹介する.手術時には切除後に体外へ摘出した肺からの針生検による迅速病理で病変が含まれていることの確認に留め,術後に切除肺のホルマリン固定標本で最大割面を作成して厳密な組織学的評価を行う.本法は胸腔鏡下手術時には正確な診断が困難なスリガラス陰影を伴う肺癌に対して,微小浸潤の有無,胸膜浸潤の有無を正確に診断することができ,新WHO分類にも対応できる点で有用である.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.31.127