肺動脈内腔にポリープ状に突出した小細胞肺癌の1例

症例は69歳男性.筋力低下,体重減少を主訴に当院を受診した.胸部造影CTにて,左肺動脈内腔に突出するポリープ状の結節を認めた.神経学的検索からは,Lambert-Eaton症候群を疑う所見を得た.組織学的検索は行えなかったが,ポリープ状の結節は腫瘍随伴性症候群を合併する悪性腫瘍と判断し左下葉切除,リンパ節郭清を施行した.術後病理結果は小細胞肺癌,pT1aN1M0 stage IIAであった.癌の進展は,間質に浸潤しながら増殖し,血管やリンパ管に浸潤し,血流やリンパ流により遠隔転移やリンパ節転移を来す.血管内に進展する場合,腫瘍と一塊となって進展し,血管を閉塞することはある.しかし,腫瘍本体と細...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 31; no. 1; pp. 115 - 121
Main Authors 眞田, 宗, 森, 毅, 白石, 健治, 柴田, 英克, 鈴木, 実, 池田, 公英
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 2017
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.31.115

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Summary:症例は69歳男性.筋力低下,体重減少を主訴に当院を受診した.胸部造影CTにて,左肺動脈内腔に突出するポリープ状の結節を認めた.神経学的検索からは,Lambert-Eaton症候群を疑う所見を得た.組織学的検索は行えなかったが,ポリープ状の結節は腫瘍随伴性症候群を合併する悪性腫瘍と判断し左下葉切除,リンパ節郭清を施行した.術後病理結果は小細胞肺癌,pT1aN1M0 stage IIAであった.癌の進展は,間質に浸潤しながら増殖し,血管やリンパ管に浸潤し,血流やリンパ流により遠隔転移やリンパ節転移を来す.血管内に進展する場合,腫瘍と一塊となって進展し,血管を閉塞することはある.しかし,腫瘍本体と細い茎のみで連続したポリープ状の進展形式を示す報告は検索する範囲においてなかった.左肺下葉に発生した小細胞肺癌が,肺動脈A6に浸潤し,肺動脈の内腔にポリープ状に突出した症例を経験したので報告する.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.31.115