長期気管切開管理患者の気管-腕頭動脈瘻の1手術救命例

症例は36歳の男性.頭部外傷による広範囲脳障害にて気管切開による長期呼吸管理中であった.在宅介護中に発症した気道出血のため,ドクター・ヘリで当センターに搬送となった.来院後,再出血によるショックとなり,腕頭動脈-気管瘻の診断にて緊急手術を施行した.手術は胸骨部分切開にて,気管の瘻孔を直接閉鎖後,同部を胸鎖乳突筋にて被覆した.十分な洗浄の後,人工血管(8 mm Dacron graft)を用い,右胸腔内を迂回する経路で上行大動脈-右腕頭動脈バイパスを施行した.術後,新たな脳合併症の発症はなく,患者は第30病日に当センターを退院となった.術後3年が経過するが,気管出血の再発,人工血管感染は認めてい...

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Published in日本心臓血管外科学会雑誌 Vol. 40; no. 6; pp. 318 - 321
Main Authors 沖本, 光典, 武内, 重康, 渡辺, 裕之, 藤田, 久徳
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会 2011
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ISSN0285-1474
1883-4108
DOI10.4326/jjcvs.40.318

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Summary:症例は36歳の男性.頭部外傷による広範囲脳障害にて気管切開による長期呼吸管理中であった.在宅介護中に発症した気道出血のため,ドクター・ヘリで当センターに搬送となった.来院後,再出血によるショックとなり,腕頭動脈-気管瘻の診断にて緊急手術を施行した.手術は胸骨部分切開にて,気管の瘻孔を直接閉鎖後,同部を胸鎖乳突筋にて被覆した.十分な洗浄の後,人工血管(8 mm Dacron graft)を用い,右胸腔内を迂回する経路で上行大動脈-右腕頭動脈バイパスを施行した.術後,新たな脳合併症の発症はなく,患者は第30病日に当センターを退院となった.術後3年が経過するが,気管出血の再発,人工血管感染は認めていない.十分な感染対策を行えば,人工血管による腕頭動脈再建は許容しうる方法と思われた.
ISSN:0285-1474
1883-4108
DOI:10.4326/jjcvs.40.318