脳膿瘍を契機に発見された巨大肺動静脈瘻の一切除例

症例は41歳女性.頭痛を自覚し近医を受診した.鎮痛薬を処方されたが改善せず,2日後に視野障害を認め,脳神経外科を受診した.頭部CTにて右後頭葉に35×27 mm大の脳膿瘍及び膿瘍周囲に浮腫を認めた.また,入院時の胸部造影CTにて左S9領域に50×36 mm大の腫瘤を認め,流入,流出血管を認めたため肺動静脈瘻と診断した.緊急開頭ドレナージ術を施行後,6週間抗生剤の投与を継続し,脳膿瘍と脳浮腫の改善を確認した.この時点で肺動静脈瘻の手術を施行した.左下葉横隔膜面の肺表面に突出する5 cm大の腫瘤を認めた.まず,下肺静脈を自動縫合器にて切離し術中操作等にて血栓や空気などによる塞栓症を発症しないように...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 28; no. 7; pp. 869 - 875
Main Authors 木村, 雅一, 池田, 徳彦, 宮島, 邦治, 河野, 貴文, 岩屋, 啓一, 林, 和
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 2014
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.28.869

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Summary:症例は41歳女性.頭痛を自覚し近医を受診した.鎮痛薬を処方されたが改善せず,2日後に視野障害を認め,脳神経外科を受診した.頭部CTにて右後頭葉に35×27 mm大の脳膿瘍及び膿瘍周囲に浮腫を認めた.また,入院時の胸部造影CTにて左S9領域に50×36 mm大の腫瘤を認め,流入,流出血管を認めたため肺動静脈瘻と診断した.緊急開頭ドレナージ術を施行後,6週間抗生剤の投与を継続し,脳膿瘍と脳浮腫の改善を確認した.この時点で肺動静脈瘻の手術を施行した.左下葉横隔膜面の肺表面に突出する5 cm大の腫瘤を認めた.まず,下肺静脈を自動縫合器にて切離し術中操作等にて血栓や空気などによる塞栓症を発症しないように努めた.次に肺動脈,気管支の順に切断し左下葉を摘出した.近年肺動静脈瘻に対する治療法はカテーテル塞栓術が主流になりつつあるが,腫瘤径や位置,流入と流出血管径などを考慮し手術も有用な治療法の1つであると考える.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.28.869