膨潤麻酔併用による腹腔鏡下経腹的腹膜前鼠径ヘルニア修復術
腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術の経腹腔的アプローチ(TAPP)は,前方アプローチのメッシュ手術より利点が多い.しかし,新たな手技習得が必要でラーニングカーブが長いため本邦では必ずしも普及していない.筆者らは,TAPPの手技的難点を軽減する目的に,経皮的に鼠径部腹膜前腔にロピバカインとエピネフリンの膨潤麻酔剤希釈液約150ml注入することを先行する膨潤TAPPを考案し22例を経験した.対象は,男21例,女性1例で平均年齢は58.2歳,24病変,間接ヘルニア19病変,直接ヘルニア5病変であった.手技的に,従来TAPPと比べて,腹膜前腔の膨化によって層確認が容易となり剥離しやすく,出血も少なく,比較的確...
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Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 72; no. 9; pp. 2204 - 2208 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
2011
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Subjects | |
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ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
DOI | 10.3919/jjsa.72.2204 |
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Summary: | 腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術の経腹腔的アプローチ(TAPP)は,前方アプローチのメッシュ手術より利点が多い.しかし,新たな手技習得が必要でラーニングカーブが長いため本邦では必ずしも普及していない.筆者らは,TAPPの手技的難点を軽減する目的に,経皮的に鼠径部腹膜前腔にロピバカインとエピネフリンの膨潤麻酔剤希釈液約150ml注入することを先行する膨潤TAPPを考案し22例を経験した.対象は,男21例,女性1例で平均年齢は58.2歳,24病変,間接ヘルニア19病変,直接ヘルニア5病変であった.手技的に,従来TAPPと比べて,腹膜前腔の膨化によって層確認が容易となり剥離しやすく,出血も少なく,比較的確実な手術が可能となった.合併症は,血腫,水腫各1例でいずれも軽微で,術後疼痛も少ないと考えられた.今後,さらなる症例集積と従来TAPPとの比較試験による検証が必要であるが,膨潤TAPPは従来TAPPを手技的,臨床的に改善すると推察された. |
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ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.72.2204 |