胸腺原発粘液腺癌の1切除例

患者は61歳 女性.胸部CTにて偶発的に前縦隔に腫瘤状陰影を指摘された.CTでは前縦隔に4.4 cm大の境界明瞭で辺縁不整な充実性腫瘤を認めた.PET-CTでは腫瘍に一致してSUVmax 12.07のFDG集積を認めた.重症筋無力症様症状はなく,抗アセチルコリンレセプター抗体は陰性であった.以上より,胸腺癌疑いにて手術を施行した.胸骨正中切開にて胸腺摘出術を施行し,浸潤が疑われた心膜は合併切除再建した.病理組織検査では,高円柱状の粘液産生性細胞が増殖しており,免疫染色ではCK7(-),CK20(+),CDX-2(+)であった.腫瘍は心膜及び胸膜浸潤を認め,リンパ節転移は認めなかった.消化管に腫...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 35; no. 5; pp. 547 - 552
Main Authors 尾関, 直樹, 川口, 晃司, 福井, 高幸, 坪内, 秀樹, 鈴木, 優香, 芳川, 豊史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 15.07.2021
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.35.547

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Summary:患者は61歳 女性.胸部CTにて偶発的に前縦隔に腫瘤状陰影を指摘された.CTでは前縦隔に4.4 cm大の境界明瞭で辺縁不整な充実性腫瘤を認めた.PET-CTでは腫瘍に一致してSUVmax 12.07のFDG集積を認めた.重症筋無力症様症状はなく,抗アセチルコリンレセプター抗体は陰性であった.以上より,胸腺癌疑いにて手術を施行した.胸骨正中切開にて胸腺摘出術を施行し,浸潤が疑われた心膜は合併切除再建した.病理組織検査では,高円柱状の粘液産生性細胞が増殖しており,免疫染色ではCK7(-),CK20(+),CDX-2(+)であった.腫瘍は心膜及び胸膜浸潤を認め,リンパ節転移は認めなかった.消化管に腫瘍性病変を認めず,悪性疾患の既往もなかったため,病理診断は胸腺原発粘液腺癌pT2N0M0 StageII,正岡III期となった.極めて稀な胸腺原発粘液腺癌の1手術例を経験したので報告する.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.35.547