肝細胞癌治療5年後に出現した巨大な肝外発育型肉腫様変化を伴う肝細胞癌の1剖検例

症例は66歳,男性.C型慢性肝炎にて経過観察されていた.2000年11月,肝S8に約4cmの肝細胞癌(HCC)認め,肝動脈塞栓術(TAE)を施行された.その後,HCCの再発を認めないため.2003年,C型慢性肝炎に対してインターフェロン療法(IFN)を施行,ウイルスは消失した.その後,定期的に経過観察を行っていた.2005年4月より腹部膨満感が出現し,腹部ダイナミックCT検査を施行,肝右葉から肝表面に突出する巨大の腫瘤を認めた.CT,肝血管造影では腫瘍は造影効果に乏しかったが,HCC局所再発の可能性を考え,TAEを施行した.しかし治療効果はなく永眠された.病理組織像では肝内の腫瘍には巣状・索状...

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Published in肝臓 Vol. 47; no. 8; pp. 405 - 410
Main Authors 入江, 真, 早田, 哲郎, 中根, 英敏, 林, 博之, 横山, 昌典, 田中, 崇, 森原, 大輔, 藤田, 英治, 岩田, 郁, 向坂, 彰太郎, 岩崎, 宏, 竹山, 康章, 釈迦堂, 敏, 小山, 泰寛
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 2006
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.47.405

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Summary:症例は66歳,男性.C型慢性肝炎にて経過観察されていた.2000年11月,肝S8に約4cmの肝細胞癌(HCC)認め,肝動脈塞栓術(TAE)を施行された.その後,HCCの再発を認めないため.2003年,C型慢性肝炎に対してインターフェロン療法(IFN)を施行,ウイルスは消失した.その後,定期的に経過観察を行っていた.2005年4月より腹部膨満感が出現し,腹部ダイナミックCT検査を施行,肝右葉から肝表面に突出する巨大の腫瘤を認めた.CT,肝血管造影では腫瘍は造影効果に乏しかったが,HCC局所再発の可能性を考え,TAEを施行した.しかし治療効果はなく永眠された.病理組織像では肝内の腫瘍には巣状・索状に配列し,肝細胞に類似する異型細胞の増殖を認めた.肝腫瘍は治療部位に接しており肝細胞癌の局所再発と考えた.免疫染色ではCytokeratin(CK)-8, CK-19, Vimentinが陽性であり,肝細胞癌の肉腫様変化と診断した.HCC治療5年後に急速に肝外発育をきたした肉腫様変化を伴った肝細胞癌の稀な症例を経験した.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.47.405