COL1A1-PDGFB融合遺伝子で診断しえた線維肉腫成分を伴う隆起性皮膚線維肉腫肺転移の1例

紡錘形細胞から成る肺腫瘍の鑑別診断はときに困難である.症例は45歳男性.39歳時に額部の皮膚腫瘤を切除された.隆起性皮膚線維肉腫(DFSP)の亜型である,線維肉腫成分を伴うDFSPと診断された.45歳時に左肺S4に18 mmの境界明瞭な結節を認め,悪性腫瘍を否定できず,胸腔鏡下肺部分切除術を施行した.肺腫瘍は線維肉腫様の配列をとる紡錘形細胞から成り,CD 34陽性,vimentin陽性,cytokeratin陰性であり,線維肉腫成分を伴うDFSPの転移が示唆された.しかし,DFSPに特徴的な花むしろ様形態(storiform pattern)成分を欠き,他の肉腫疾患と鑑別を要した.RT-PCR...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 28; no. 6; pp. 764 - 770
Main Authors 北村, 淳子, 小林, 宣隆, 沼波, 宏樹, 田中, 元也, 山地, 雅之, 羽生田, 正行
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 2014
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.28.764

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Summary:紡錘形細胞から成る肺腫瘍の鑑別診断はときに困難である.症例は45歳男性.39歳時に額部の皮膚腫瘤を切除された.隆起性皮膚線維肉腫(DFSP)の亜型である,線維肉腫成分を伴うDFSPと診断された.45歳時に左肺S4に18 mmの境界明瞭な結節を認め,悪性腫瘍を否定できず,胸腔鏡下肺部分切除術を施行した.肺腫瘍は線維肉腫様の配列をとる紡錘形細胞から成り,CD 34陽性,vimentin陽性,cytokeratin陰性であり,線維肉腫成分を伴うDFSPの転移が示唆された.しかし,DFSPに特徴的な花むしろ様形態(storiform pattern)成分を欠き,他の肉腫疾患と鑑別を要した.RT-PCR法で遺伝子検索を行ったところ,DFSPに特異的なCOL1A1-PDGFB融合遺伝子が検出された.肺腫瘍に線維肉腫成分のみを認める症例では遺伝子検査は有用である.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.28.764