縦隔内異所性副甲状腺腺腫術後に低カルシウム血症が遷延した1例

症例は37歳女性.高Ca血症,intact PTH高値を契機に,CT検査で前縦隔腫瘤を指摘された.99mTc-MIBIシンチグラフィーで異常集積を認め,縦隔内異所性副甲状腺腺腫による原発性副甲状腺機能亢進症(以下:PHPT)と診断された.胸腔内炭酸ガス送気併用右胸腔鏡下前縦隔腫瘍摘出術を施行した.術後1病日に低Ca血症および四肢の痺れを認めた.カルシウムを補充し,以後血清Ca値は正常下限で推移したが,四肢の痺れは術後9病日まで持続した.PHPTの治療は腫瘍の外科的切除が推奨される.血清Ca値は術後早期から低下し,術後2-4病日目に最低値となる症例が多いが,4-24%の症例では低Ca血症が遷延す...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 34; no. 6; pp. 628 - 634
Main Authors 沖田, 理貴, 井野川, 英利, 林, 雅太郎, 川本, 常喬, 古川, 公之, 岡部, 和倫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 15.09.2020
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.34.628

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Summary:症例は37歳女性.高Ca血症,intact PTH高値を契機に,CT検査で前縦隔腫瘤を指摘された.99mTc-MIBIシンチグラフィーで異常集積を認め,縦隔内異所性副甲状腺腺腫による原発性副甲状腺機能亢進症(以下:PHPT)と診断された.胸腔内炭酸ガス送気併用右胸腔鏡下前縦隔腫瘍摘出術を施行した.術後1病日に低Ca血症および四肢の痺れを認めた.カルシウムを補充し,以後血清Ca値は正常下限で推移したが,四肢の痺れは術後9病日まで持続した.PHPTの治療は腫瘍の外科的切除が推奨される.血清Ca値は術後早期から低下し,術後2-4病日目に最低値となる症例が多いが,4-24%の症例では低Ca血症が遷延するとされる.近年,胸腔鏡手術が普及し入院期間が短縮可能となったが,PHPTの術後は低Ca血症の遷延を念頭に置いた身体所見や血清Ca値の慎重な経過観察が必要である.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.34.628