膵癌肺転移に対する9切除例の検討

膵癌は予後不良で局所再発や肝転移を来たしやすく,肺転移が発見された時点で手術適応であることはほとんどない.このため膵癌肺転移切除の報告例は多くない.今回,当院における膵癌肺転移に対する肺切除例について検討した.2004年1月から2014年12月までに当院において手術を施行した膵癌肺転移9例を対象とした.膵癌初回治療後から肺転移切除までの期間は平均47.9ヵ月(13-74ヵ月)であった.全症例での肺切除後観察中央期間は14ヵ月であった.肺切除後,9例中3例に新たな再発を認めたが,残りの6例は無再発生存中である.原発巣が制御され,肺転移巣が完全切除可能であれば,外科的切除は選択肢のひとつとなり得る...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 30; no. 5; pp. 540 - 544
Main Authors 安川, 元章, 東条, 尚, 河合, 紀和, 川口, 剛史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 2016
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.30.540

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Summary:膵癌は予後不良で局所再発や肝転移を来たしやすく,肺転移が発見された時点で手術適応であることはほとんどない.このため膵癌肺転移切除の報告例は多くない.今回,当院における膵癌肺転移に対する肺切除例について検討した.2004年1月から2014年12月までに当院において手術を施行した膵癌肺転移9例を対象とした.膵癌初回治療後から肺転移切除までの期間は平均47.9ヵ月(13-74ヵ月)であった.全症例での肺切除後観察中央期間は14ヵ月であった.肺切除後,9例中3例に新たな再発を認めたが,残りの6例は無再発生存中である.原発巣が制御され,肺転移巣が完全切除可能であれば,外科的切除は選択肢のひとつとなり得る.膵癌術後肺転移までの期間が予後因子となる可能性が示唆された.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.30.540