降下性壊死性縦隔炎13例の検討―進展経路認識の重要性

降下性壊死性縦隔炎は,咽頭感染や歯科領域感染が縦隔に波及し,重篤化しやすく,致死的経過をたどることもある疾患である.今回,当科で縦隔ドレナージ手術を施行した13例の臨床経過について検討した.13例中12例で胸腔鏡下縦隔ドレナージ術を行い,12例は右側胸腔からアプローチした.また,2例は耳鼻咽喉科で頚部ドレナージを施行されたが,その後に縦隔への進展を認め,二期的な縦隔ドレナージ術を要した.術後在院期間は平均46日と長期間を要した.術後に死亡した1例は,診断までに約2週間を要した症例だった.降下性壊死性縦隔炎に対するドレナージ方法やアプローチについては見解が統一されていない部分があるが,早期診断,...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 34; no. 6; pp. 566 - 571
Main Authors 清水, 公裕, 江口, 隆, 竹田, 哲, 山田, 響子, 松岡, 峻一郎, 濱中, 一敏, 小山, 力
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 15.09.2020
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.34.566

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Summary:降下性壊死性縦隔炎は,咽頭感染や歯科領域感染が縦隔に波及し,重篤化しやすく,致死的経過をたどることもある疾患である.今回,当科で縦隔ドレナージ手術を施行した13例の臨床経過について検討した.13例中12例で胸腔鏡下縦隔ドレナージ術を行い,12例は右側胸腔からアプローチした.また,2例は耳鼻咽喉科で頚部ドレナージを施行されたが,その後に縦隔への進展を認め,二期的な縦隔ドレナージ術を要した.術後在院期間は平均46日と長期間を要した.術後に死亡した1例は,診断までに約2週間を要した症例だった.降下性壊死性縦隔炎に対するドレナージ方法やアプローチについては見解が統一されていない部分があるが,早期診断,及び胸腔鏡アプローチによる低侵襲な外科的縦隔ドレナージが生存率向上に寄与すると考える.また,CTによる進展経路の同定により,その後の進行はある程度予測可能であり,術式検討に有効であるといえる.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.34.566