フラップ気管支形成術が有用であった気管支内過誤腫の1手術例

症例は62歳男性.胸部異常陰影を指摘され受診した.CT検査では右S6に多発粒状影と,右B6内に径12 mmの腫瘤性病変を認めた.気管支鏡検査では,B6から下葉気管支に突出する腫瘤を認め,生検では悪性所見は無かった.閉塞性肺炎を発症しているため手術適応とした.中葉および肺底区温存のため右S6区域切除術を選択した.腫瘍の付着部がB6の分岐部に近かったため,B6の単純離断は困難であった.そこで腫瘍付着部対側のB6気管支壁をフラップ状に残す様に切り込み,そのフラップを使って下葉気管支を閉鎖した(フラップ気管支形成術).組織学的には過誤腫と診断された.フラップ気管支形成術は楔状切除術や管状切除術に比べて...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 28; no. 7; pp. 910 - 914
Main Authors 森田, 克彦, 栗本, 典昭, 野坂, 誠士, 村山, 正毅
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 2014
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.28.910

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Summary:症例は62歳男性.胸部異常陰影を指摘され受診した.CT検査では右S6に多発粒状影と,右B6内に径12 mmの腫瘤性病変を認めた.気管支鏡検査では,B6から下葉気管支に突出する腫瘤を認め,生検では悪性所見は無かった.閉塞性肺炎を発症しているため手術適応とした.中葉および肺底区温存のため右S6区域切除術を選択した.腫瘍の付着部がB6の分岐部に近かったため,B6の単純離断は困難であった.そこで腫瘍付着部対側のB6気管支壁をフラップ状に残す様に切り込み,そのフラップを使って下葉気管支を閉鎖した(フラップ気管支形成術).組織学的には過誤腫と診断された.フラップ気管支形成術は楔状切除術や管状切除術に比べて術後合併症が少ない術式とされている.一方で悪性腫瘍手術の場合には,局所再発の心配がある.自験例の様な良性腫瘍手術の気管支形成においては有用な術式と考えられる.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.28.910