難聴を主訴とした受診患者における年齢別聴力像の検討 純音聴力検査と語音明瞭度の比較

要旨: 聴覚機能の加齢変化を, 難聴を主訴に受診し純音聴力検査と語音明瞭度を用い399耳 (男性201,女性198) について検討した。年齢は6歳から96歳 (平均54.3歳) で, 10歳毎の9群に分けて検討した。  聴力閾値は40歳代から低下したが, 語音明瞭度は60歳代から低下し始めた。また, 各年代における聴力閾値のバラつきは, 若年群で大きく高齢化するほど小さくなった。語音明瞭度のバラツキは, 若年群で小さく高齢群になるほど大きくなる逆のパターンを示した。また, 各年代において語音明瞭度が50%以下の割合は, 10~60歳代までは10%以下であったが, 70歳代になると21.5%と増...

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Published inAUDIOLOGY JAPAN Vol. 59; no. 2; pp. 119 - 123
Main Authors 枝松, 秀雄, 市島, 龍, 佐々木, 優子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本聴覚医学会 28.04.2016
日本聴覚医学会
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ISSN0303-8106
1883-7301
DOI10.4295/audiology.59.119

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Summary:要旨: 聴覚機能の加齢変化を, 難聴を主訴に受診し純音聴力検査と語音明瞭度を用い399耳 (男性201,女性198) について検討した。年齢は6歳から96歳 (平均54.3歳) で, 10歳毎の9群に分けて検討した。  聴力閾値は40歳代から低下したが, 語音明瞭度は60歳代から低下し始めた。また, 各年代における聴力閾値のバラつきは, 若年群で大きく高齢化するほど小さくなった。語音明瞭度のバラツキは, 若年群で小さく高齢群になるほど大きくなる逆のパターンを示した。また, 各年代において語音明瞭度が50%以下の割合は, 10~60歳代までは10%以下であったが, 70歳代になると21.5%と増加し始め, 90歳代では61.1%となった。一方, 聴力閾値は80~90歳代の全例が 80dB未満で, 語音明瞭度と乖離した結果となった。  聴覚機能の加齢変化には, 純音聴力検査と語音明瞭度の2つを併用して行うことが必要と考えられた。高齢者の難聴の振興には様々な因子が報告されているが, 今回の検討では有意な関連因子はみとめられなかった。
ISSN:0303-8106
1883-7301
DOI:10.4295/audiology.59.119