内視鏡的逆行性胆道膵管造影時の頚部食道損傷により生じたと考えられた急性縦隔炎の1手術例
Endoscopic retrograde cholangiopancreatography(ERCP)時の頚部食道損傷により生じたと考えられた急性縦隔炎に対して,胸腔鏡下縦隔ドレナージ術を行い救命し得た1例を経験したので報告する.症例は82歳女性.膵腫瘍の精査目的でERCP検査が試みられ,検査直後より頚部痛を訴えていた.検査翌日施行されたCT検査で縦隔気腫を認め,頚部食道損傷の可能性が考えられた.2日目のCT検査で急性縦隔炎と診断され,緊急で胸腔鏡下縦隔ドレナージ術をおこなった.消化器内視鏡検査では食道損傷の危険性が稀ながら存在する.急性縦隔炎を発症すると予後不良であり,早期の診断と治療が重...
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Published in | 日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 27; no. 5; pp. 575 - 579 |
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Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会
2013
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Subjects | |
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ISSN | 0919-0945 1881-4158 |
DOI | 10.2995/jacsurg.27.575 |
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Summary: | Endoscopic retrograde cholangiopancreatography(ERCP)時の頚部食道損傷により生じたと考えられた急性縦隔炎に対して,胸腔鏡下縦隔ドレナージ術を行い救命し得た1例を経験したので報告する.症例は82歳女性.膵腫瘍の精査目的でERCP検査が試みられ,検査直後より頚部痛を訴えていた.検査翌日施行されたCT検査で縦隔気腫を認め,頚部食道損傷の可能性が考えられた.2日目のCT検査で急性縦隔炎と診断され,緊急で胸腔鏡下縦隔ドレナージ術をおこなった.消化器内視鏡検査では食道損傷の危険性が稀ながら存在する.急性縦隔炎を発症すると予後不良であり,早期の診断と治療が重要である.特にCT検査は深頚部感染症の縦隔への波及を検索するのに有用である.損傷直後であれば損傷部の直接修復も可能であるが,急性縦隔炎に至った場合は早期の頚部・縦隔ドレナージ術が必要である. |
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ISSN: | 0919-0945 1881-4158 |
DOI: | 10.2995/jacsurg.27.575 |