腹膜転移した鼻腔原発悪性黒色腫の1例

症例は56歳,男性.2007年2月に左鼻出血で当院耳鼻科を受診し,左副鼻腔に10mm大の腫瘍を指摘された.精査にて遠隔転移のない左中鼻甲介悪性黒色腫と診断された.重粒子線治療(炭素イオン線57.6GyE/16回)および化学療法(DTIC,ACNU,VCR×5クール)が施行され,CRと判定されていた.2007年12月,下腹部痛のために施行されたCT検査で,左腹部5cm大の腫瘤を指摘された.2008年2月に開腹手術を施行したところ,悪性黒色腫の著明な腹膜播種と診断した.腫瘍生検術後早期に退院したが,徐々に腹水貯留,全身衰弱が進行し,3カ月後に永眠された.重粒子線治療により局所治癒が得られたにもかか...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 70; no. 5; pp. 1536 - 1540
Main Authors 江口, 武彦, 林, 真路, 関谷, 正徳, 藤岡, 憲, 丸山, 浩高
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2009
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.70.1536

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Summary:症例は56歳,男性.2007年2月に左鼻出血で当院耳鼻科を受診し,左副鼻腔に10mm大の腫瘍を指摘された.精査にて遠隔転移のない左中鼻甲介悪性黒色腫と診断された.重粒子線治療(炭素イオン線57.6GyE/16回)および化学療法(DTIC,ACNU,VCR×5クール)が施行され,CRと判定されていた.2007年12月,下腹部痛のために施行されたCT検査で,左腹部5cm大の腫瘤を指摘された.2008年2月に開腹手術を施行したところ,悪性黒色腫の著明な腹膜播種と診断した.腫瘍生検術後早期に退院したが,徐々に腹水貯留,全身衰弱が進行し,3カ月後に永眠された.重粒子線治療により局所治癒が得られたにもかかわらず,遠隔転移により不良な転帰をたどった1例であった.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.70.1536