左腕頭静脈合併切除・再建を要したtype A浸潤性胸腺腫の1例

WHO分類type A胸腺腫は低悪性度な腫瘍で,境界明瞭で非浸潤性の像を呈することが多いとされている.症例は60歳代,女性.検診で胸部異常陰影を指摘された.画像精査で6 cm大の前縦隔腫瘍を認め,左腕頭静脈浸潤が疑われた.CTガイド下生検にてtype A胸腺腫と診断された.術前診断は浸潤性胸腺腫,type A,cT3N0M0 Stage IIIA,正岡分類III期とした.術前化学療法を施行したがstable disease(SD)であった.手術は胸骨正中切開で胸腺腫摘出,左腕頭静脈合併切除,左腕頭静脈―右心耳バイパスを施行した.病理組織学的検査で左腕頭静脈浸潤を伴う胸腺腫,type A,ypT...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 34; no. 5; pp. 341 - 347
Main Authors 松浦, 求樹, 岡田, 真典, 久保, 友次郎, 中村, 龍二, 岡田, 和大, 藤原, 俊哉
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 15.07.2020
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.34.341

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Summary:WHO分類type A胸腺腫は低悪性度な腫瘍で,境界明瞭で非浸潤性の像を呈することが多いとされている.症例は60歳代,女性.検診で胸部異常陰影を指摘された.画像精査で6 cm大の前縦隔腫瘍を認め,左腕頭静脈浸潤が疑われた.CTガイド下生検にてtype A胸腺腫と診断された.術前診断は浸潤性胸腺腫,type A,cT3N0M0 Stage IIIA,正岡分類III期とした.術前化学療法を施行したがstable disease(SD)であった.手術は胸骨正中切開で胸腺腫摘出,左腕頭静脈合併切除,左腕頭静脈―右心耳バイパスを施行した.病理組織学的検査で左腕頭静脈浸潤を伴う胸腺腫,type A,ypT3N0M0 Stage IIIA,正岡分類III期と診断した.患者希望により追加治療は行わなかった.現在術後1年4ヵ月経過し,無再発,経過観察中である.Type A胸腺腫でも大血管浸潤を呈することがあり,慎重な術式選択が重要である.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.34.341