極めて稀な縦隔型A7a+8bを有した右下葉肺癌の1切除例

症例は77歳男性.血痰を主訴に受診し,肺癌が疑われた.術前の薄切CTでA7a+8bが右主肺動脈本幹背側,上幹肺動脈より末梢で分枝し,上肺静脈と下肺静脈の間を通り,中間気管支幹の縦隔側を走行してS7aとS8bに分布する解剖学的走行異常を認めた.主病変は右下葉の26 mm径の充実性結節であった.右下葉肺癌疑い(cT1cN0M0)に対し,右下葉切除+ND2a-1を施行.術中所見では分葉は良好で,中下葉間は電気メスのみで剥離でき,肺動脈の剥離も施行した.A6とA7b+8a+9+10が通常の葉間面の肺動脈から分枝し,A7a+8bは中葉気管支の背側から中下葉間を渡って下葉に流入していた.A7a+8bは中下...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 31; no. 5; pp. 684 - 688
Main Authors 永島, 琢也, 西井, 鉄平, 中山, 治彦, 伊藤, 宏之, 益田, 宗孝, 鮫島, 譲司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 2017
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.31.684

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Summary:症例は77歳男性.血痰を主訴に受診し,肺癌が疑われた.術前の薄切CTでA7a+8bが右主肺動脈本幹背側,上幹肺動脈より末梢で分枝し,上肺静脈と下肺静脈の間を通り,中間気管支幹の縦隔側を走行してS7aとS8bに分布する解剖学的走行異常を認めた.主病変は右下葉の26 mm径の充実性結節であった.右下葉肺癌疑い(cT1cN0M0)に対し,右下葉切除+ND2a-1を施行.術中所見では分葉は良好で,中下葉間は電気メスのみで剥離でき,肺動脈の剥離も施行した.A6とA7b+8a+9+10が通常の葉間面の肺動脈から分枝し,A7a+8bは中葉気管支の背側から中下葉間を渡って下葉に流入していた.A7a+8bは中下葉間の高さで切離した.右肺動脈の縦隔型下葉枝は過去2例の報告のみと非常に稀であるため,解剖の詳細も含め報告する.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.31.684