横隔膜小孔に異所性子宮内膜組織を認めた横隔膜交通症の1手術例
横隔膜交通症は持続腹膜透析(CAPD)の併発症として重要である.横隔膜交通症に対して胸腔鏡下横隔膜部分切除術を施行し横隔膜上の瘻孔に異所性子宮内膜組織を認めた症例を報告する.症例は42歳の女性.CAPD開始後に,右胸水貯留を認めた.精査の結果,横隔膜交通症と診断し胸腔鏡下手術を行った.インジゴカルミン液を混注した腹膜透析液を腹腔内に注入し瘻孔を同定後に同部を自動縫合器で切除し,切除断端を結紮とポリグリコール酸シートで補強した.病理組織学的に,横隔膜の瘻孔部に異所性子宮内膜組織を認めた.術後7日目に腹膜透析を再開し異所性子宮内膜症に対しホルモン療法を開始した.横隔膜交通症の原因として異所性子宮内...
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| Published in | 日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 35; no. 4; pp. 315 - 319 |
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| Main Authors | , , , , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会
15.05.2021
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| Subjects | |
| Online Access | Get full text |
| ISSN | 0919-0945 1881-4158 |
| DOI | 10.2995/jacsurg.35.315 |
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| Summary: | 横隔膜交通症は持続腹膜透析(CAPD)の併発症として重要である.横隔膜交通症に対して胸腔鏡下横隔膜部分切除術を施行し横隔膜上の瘻孔に異所性子宮内膜組織を認めた症例を報告する.症例は42歳の女性.CAPD開始後に,右胸水貯留を認めた.精査の結果,横隔膜交通症と診断し胸腔鏡下手術を行った.インジゴカルミン液を混注した腹膜透析液を腹腔内に注入し瘻孔を同定後に同部を自動縫合器で切除し,切除断端を結紮とポリグリコール酸シートで補強した.病理組織学的に,横隔膜の瘻孔部に異所性子宮内膜組織を認めた.術後7日目に腹膜透析を再開し異所性子宮内膜症に対しホルモン療法を開始した.横隔膜交通症の原因として異所性子宮内膜症が関与している可能性があり,再発予防のためにも病理組織学的診断が有用と考える.横隔膜交通症に対して横隔膜部分切除術を施行し異所性子宮内膜組織が瘻孔形成に関与する可能性を示唆する症例を経験した. |
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| ISSN: | 0919-0945 1881-4158 |
| DOI: | 10.2995/jacsurg.35.315 |