微小乳頭状構造を示した腹膜原発漿液性乳頭腺癌の1例

79歳女性,甲状腺腫瘤で経過観察していたところ,頸部リンパ節腫脹を認めるようになりリンパ節生検を行い,原発不明の転移性腺癌と診断された.全身検索を行うが原発巣は特定できず,病状の進行により死亡した.病理解剖を行うと,下腹部より後腹膜を這うようにして横隔膜下まで発育する腫瘍と傍大動脈リンパ節の著明な腫脹を認めた.組織学的には微細乳頭状構造を示して発育する漿液性腺癌を認めた.免疫組織化学的にはCA125(+)で,卵巣に異常を認めなかったことから,腹膜原発漿液性腺癌(微小乳頭癌)と診断された.微小乳頭癌は乳癌で報告されているが,腹膜原発性漿液性腺癌での微小乳頭癌の報告はこれまで無く,稀な症例と考えら...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 71; no. 9; pp. 2464 - 2468
Main Authors 八十川, 要平, 安部, 美寛, 白石, 廣照, 本告, 匡, 田島, 弘, 西, 八嗣
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2010
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.71.2464

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Summary:79歳女性,甲状腺腫瘤で経過観察していたところ,頸部リンパ節腫脹を認めるようになりリンパ節生検を行い,原発不明の転移性腺癌と診断された.全身検索を行うが原発巣は特定できず,病状の進行により死亡した.病理解剖を行うと,下腹部より後腹膜を這うようにして横隔膜下まで発育する腫瘍と傍大動脈リンパ節の著明な腫脹を認めた.組織学的には微細乳頭状構造を示して発育する漿液性腺癌を認めた.免疫組織化学的にはCA125(+)で,卵巣に異常を認めなかったことから,腹膜原発漿液性腺癌(微小乳頭癌)と診断された.微小乳頭癌は乳癌で報告されているが,腹膜原発性漿液性腺癌での微小乳頭癌の報告はこれまで無く,稀な症例と考えられたので文献的考察を加え報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.71.2464