Sorafenib治療開始早期より画像所見に著明な変化を呈したが,死亡した進行肝細胞癌の1例

症例は,66歳男性.肝外転移を有する進行肝癌治療目的でsorafenib 800 mg/day投与開始し,治療開始17日目に代謝性脳症で死亡した.治療前および治療後1週に,ソナゾイド造影超音波とMRI拡散強調画像をそれぞれ撮像した.造影超音波では,治療前と比べ治療後1週において,腫瘍部と健常腎実質部に著明な血流低下を認めた.一方,拡散強調画像では,腫瘍部のADCの著明な低下を認めた.sorafenib治療において,腫瘍部に血流低下などの,急激な画像所見の変化が生じる場合,治療効果良好の徴候とも考えられるが,重篤な有害事象の発現の可能性も念頭に置き,厳重な経過観察が必要であると考える....

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Published in肝臓 Vol. 51; no. 5; pp. 227 - 235
Main Authors 中村, 郁夫, 平良, 淳一, 古市, 好宏, 杉本, 勝俊, 今井, 康晴, 宮田, 祐樹, 森安, 史典, 市村, 茂輝, 齋藤, 和博, 村島, 英学, 佐野, 隆友, 山田, 幸太, 本定, 三季, 山田, 昌彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 2010
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.51.227

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Summary:症例は,66歳男性.肝外転移を有する進行肝癌治療目的でsorafenib 800 mg/day投与開始し,治療開始17日目に代謝性脳症で死亡した.治療前および治療後1週に,ソナゾイド造影超音波とMRI拡散強調画像をそれぞれ撮像した.造影超音波では,治療前と比べ治療後1週において,腫瘍部と健常腎実質部に著明な血流低下を認めた.一方,拡散強調画像では,腫瘍部のADCの著明な低下を認めた.sorafenib治療において,腫瘍部に血流低下などの,急激な画像所見の変化が生じる場合,治療効果良好の徴候とも考えられるが,重篤な有害事象の発現の可能性も念頭に置き,厳重な経過観察が必要であると考える.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.51.227