胸腔鏡手術を先行することで完全切除し得た卵黄囊腫瘍の1例

38歳男性.胸痛を契機に胸部異常影を指摘され,当科紹介となった.CT(Computed tomography)にて,上大静脈と左腕頭静脈を圧排する16×13×9 cm大の前縦隔腫瘤を認め,CTガイド下針生検で卵黄囊腫瘍の診断となった.BEP療法(bleomycin,etoposide,and platinum)を施行したが,薬剤性肺障害を併発したため,化学療法を中止し手術の方針となった.右肺浸潤や横隔神経との癒着が疑われたため,胸腔鏡手術を先行した.左側臥位で胸腔鏡手術を施行,右肺上中葉の部分合併切除を行い,横隔神経を腫瘍から剥離温存した.仰臥位に体位変換後,胸骨正中切開で腫瘍を切除した.心膜...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 33; no. 7; pp. 706 - 713
Main Authors 山本, 健嗣, 菅野, 健児, 根本, 大士, 前原, 孝光, 木越, 宏紀, 益田, 宗孝
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 15.11.2019
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.33.706

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Summary:38歳男性.胸痛を契機に胸部異常影を指摘され,当科紹介となった.CT(Computed tomography)にて,上大静脈と左腕頭静脈を圧排する16×13×9 cm大の前縦隔腫瘤を認め,CTガイド下針生検で卵黄囊腫瘍の診断となった.BEP療法(bleomycin,etoposide,and platinum)を施行したが,薬剤性肺障害を併発したため,化学療法を中止し手術の方針となった.右肺浸潤や横隔神経との癒着が疑われたため,胸腔鏡手術を先行した.左側臥位で胸腔鏡手術を施行,右肺上中葉の部分合併切除を行い,横隔神経を腫瘍から剥離温存した.仰臥位に体位変換後,胸骨正中切開で腫瘍を切除した.心膜と左腕頭静脈を合併切除し,外科的完全切除を完遂した.術後に重症合併症は認めなかった.胸腔鏡手術の先行により,良好な視野で肺部分切除と横隔神経の温存ができ,完全切除し得た卵黄囊腫瘍の1例を経験した.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.33.706