腹膜原発漿液性乳頭状腺癌の1例

症例は26歳,女性.2008年4月,左下腹部腫瘤と便中狭小化のため近医受診.下行結腸腫瘍,後腹膜腫瘍を疑い当院紹介となった.血液検査ではCA125が高値で,腹部CT・MRI検査にて左下腹部に分葉状の腫瘍とその腹側の下行結腸に壁肥厚を認め,膀胱子宮窩やDouglas窩にも結節を認めた.注腸検査にて下行結腸に約5cmの全周性不整狭窄を認め,大腸内視鏡検査では同部に出血を伴う全周性狭窄と浮腫状粘膜を認めた.生検では腺癌の診断で下行結腸癌が疑われたが,免疫染色でのCK7(+),CK20(-)との結果から後腹膜腫瘍の結腸浸潤の診断にて,同年5月に下行結腸切除術,腫瘍切除術施行.下行結腸と後腹膜腫瘍は連続...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 70; no. 6; pp. 1864 - 1868
Main Authors 佐野, 功, 清水, 香里, 濱崎, 景子, 中崎, 隆行, 谷口, 英樹, 高原, 耕, 進藤, 久和
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2009
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.70.1864

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Summary:症例は26歳,女性.2008年4月,左下腹部腫瘤と便中狭小化のため近医受診.下行結腸腫瘍,後腹膜腫瘍を疑い当院紹介となった.血液検査ではCA125が高値で,腹部CT・MRI検査にて左下腹部に分葉状の腫瘍とその腹側の下行結腸に壁肥厚を認め,膀胱子宮窩やDouglas窩にも結節を認めた.注腸検査にて下行結腸に約5cmの全周性不整狭窄を認め,大腸内視鏡検査では同部に出血を伴う全周性狭窄と浮腫状粘膜を認めた.生検では腺癌の診断で下行結腸癌が疑われたが,免疫染色でのCK7(+),CK20(-)との結果から後腹膜腫瘍の結腸浸潤の診断にて,同年5月に下行結腸切除術,腫瘍切除術施行.下行結腸と後腹膜腫瘍は連続しており,癌性腹膜炎を呈していた.病理組織学的診断は漿液性乳頭状腺癌で,下行結腸は粘膜表層まで癌浸潤を認めた.卵巣その他に原発巣を認めないため,腹膜原発漿液性乳頭状腺癌と診断した.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.70.1864