孤立性眼窩転移による眼瞼下垂から診断された残胃癌の1例

症例は70歳,男性.1カ月前からの右眼瞼下垂を主訴に内科を受診し,精査で右眼窩腫瘍を認めた.悪性腫瘍を疑われ,全身検索を施行したところ残胃吻合部に2型腫瘍を認め,生検で低分化型腺癌の診断であった.胸腹部に転移所見は無く,残胃全摘術の後に眼窩腫瘍の生検を行ったところ,眼窩腫瘍にも低分化型腺癌の所見を認め,胃癌の孤立性眼窩転移と診断した.現在は眼窩腫瘍への放射線照射+化学療法(TS-1)を行っている.転移性眼窩腫瘍は稀であり,予後不良の疾患であるが,放射線や化学療法による集学的治療によって予後は改善しつつあるとされる.その中でも胃癌の孤立性眼窩転移の症例は少なく,文献的考察を加えて報告する....

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 72; no. 6; pp. 1444 - 1447
Main Authors 石山, 聡治, 薮崎, 紀充, 横井, 一樹, 伊藤, 不二男, 森, 俊明, 鈴木, 祐一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2011
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.72.1444

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Summary:症例は70歳,男性.1カ月前からの右眼瞼下垂を主訴に内科を受診し,精査で右眼窩腫瘍を認めた.悪性腫瘍を疑われ,全身検索を施行したところ残胃吻合部に2型腫瘍を認め,生検で低分化型腺癌の診断であった.胸腹部に転移所見は無く,残胃全摘術の後に眼窩腫瘍の生検を行ったところ,眼窩腫瘍にも低分化型腺癌の所見を認め,胃癌の孤立性眼窩転移と診断した.現在は眼窩腫瘍への放射線照射+化学療法(TS-1)を行っている.転移性眼窩腫瘍は稀であり,予後不良の疾患であるが,放射線や化学療法による集学的治療によって予後は改善しつつあるとされる.その中でも胃癌の孤立性眼窩転移の症例は少なく,文献的考察を加えて報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.72.1444