TS-1®投与にて著効が得られた縦隔リンパ節転移を伴った進行肝細胞癌の1例

症例は64歳男性で,肝硬変の経過観察中2001年に径1 cm大の肝細胞癌(HCC)と診断された.HCCの再発のため,経皮的エタノール注入療法(PEIT)を4回,肝動脈塞栓療法(TAE)を3回施行された.2003年に縦隔リンパ節転移を認めたため,UFT®の投与が開始された.しかし,汎血球減少により半年間のみの投与となり,HCCと縦隔リンパ節転移の病状に変化はなく,PEITとTAEが繰り返された.HCCの進行を認めたため,2005年1月にTS-1®投与が開始された.6カ月の経過でHCCと縦隔リンパ節腫大の消失を認め,以後も再発は認めていない.本例のHCCと縦隔リンパ節腫大は,5-FUに感受性があり...

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Published in肝臓 Vol. 49; no. 5; pp. 218 - 223
Main Authors 浅葉, 宣之, 中村, 一久, 根津, 佐江子, 川村, 直弘, 川越, 圭, 高橋, 信一, 松岡, 弘泰, 森, 秀明, 佐藤, 悦久, 奥山, 秀平
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 2008
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.49.218

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Summary:症例は64歳男性で,肝硬変の経過観察中2001年に径1 cm大の肝細胞癌(HCC)と診断された.HCCの再発のため,経皮的エタノール注入療法(PEIT)を4回,肝動脈塞栓療法(TAE)を3回施行された.2003年に縦隔リンパ節転移を認めたため,UFT®の投与が開始された.しかし,汎血球減少により半年間のみの投与となり,HCCと縦隔リンパ節転移の病状に変化はなく,PEITとTAEが繰り返された.HCCの進行を認めたため,2005年1月にTS-1®投与が開始された.6カ月の経過でHCCと縦隔リンパ節腫大の消失を認め,以後も再発は認めていない.本例のHCCと縦隔リンパ節腫大は,5-FUに感受性があり,ギメラシル(CDHP)により5-FUの血中濃度が高く保たれたため著効したと考えられた.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.49.218