血清PSA値が正常の前立腺癌孤立性肺転移の1切除例

前立腺癌の再発・遠隔転移症例の多くは,血清PSA高値を伴い,肺への多発転移が大部分を占め,かつ骨転移や他臓器にも転移を伴うことが多い.今回我々は前立腺癌術後に血清PSA正常値で肺以外に転移を認めない稀な単発性肺転移症例を経験したので報告する.症例は80歳男性.前立腺癌に対して前立腺全摘術,放射線治療およびホルモン療法を施行した.経過観察での胸部CTで右肺下葉に5 mmの結節を指摘され,経過観察していたが徐々に増大傾向を認めたことから,手術目的に当科紹介となった.術前の採血では血清PSA値を含め腫瘍マーカーは正常範囲内であった.診断および治療目的で胸腔鏡下右肺部分切除術を施行した.免疫染色でPS...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 33; no. 6; pp. 652 - 655
Main Authors 仲田, 健男, 浅野, 久敏, 加藤, 大喜, 荒川, 智嗣, 森, 彰平, 大塚, 崇
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 15.09.2019
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.33.652

Cover

More Information
Summary:前立腺癌の再発・遠隔転移症例の多くは,血清PSA高値を伴い,肺への多発転移が大部分を占め,かつ骨転移や他臓器にも転移を伴うことが多い.今回我々は前立腺癌術後に血清PSA正常値で肺以外に転移を認めない稀な単発性肺転移症例を経験したので報告する.症例は80歳男性.前立腺癌に対して前立腺全摘術,放射線治療およびホルモン療法を施行した.経過観察での胸部CTで右肺下葉に5 mmの結節を指摘され,経過観察していたが徐々に増大傾向を認めたことから,手術目的に当科紹介となった.術前の採血では血清PSA値を含め腫瘍マーカーは正常範囲内であった.診断および治療目的で胸腔鏡下右肺部分切除術を施行した.免疫染色でPSA陽性,TTF-1陰性,NapsinA陰性であり,切除した肺結節を前立腺癌肺転移と診断した.肺切除後1年7ヵ月後の現在外来経過観察中である.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.33.652