急速増大した縦隔原発高分化型脂肪肉腫の1例

症例は75歳男性.左胸痛,咳嗽を主訴に近医を受診し,胸部X線で異常を指摘されたため当院を紹介受診.胸部CT,MRIにて左胸腔内に15 cm大の境界明瞭,辺縁平滑で吸収域の異なる大小さまざまな腫瘤が集簇したような巨大腫瘍を認めた.画像上脂肪肉腫を疑い外来で精査を行われていたが2週間で腫瘍の急速な増大と胸水の出現を認め,呼吸不全をきたしたため緊急入院となり手術を施行した.手術に先んじ大腿動静脈の確保を行い前側方切開にて開胸,腫瘍を切除した.腫瘍の大きさは最大径19 cm,重量は1780 gで病理診断は高分化型脂肪肉腫であった.脂肪肉腫は緩徐に増大することが多く,今回急速に増大した縦隔原発高分化型脂...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 32; no. 6; pp. 736 - 741
Main Authors 井手, 昇太郎, 井上, 啓爾, 平原, 正隆
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 15.09.2018
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.32.736

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Summary:症例は75歳男性.左胸痛,咳嗽を主訴に近医を受診し,胸部X線で異常を指摘されたため当院を紹介受診.胸部CT,MRIにて左胸腔内に15 cm大の境界明瞭,辺縁平滑で吸収域の異なる大小さまざまな腫瘤が集簇したような巨大腫瘍を認めた.画像上脂肪肉腫を疑い外来で精査を行われていたが2週間で腫瘍の急速な増大と胸水の出現を認め,呼吸不全をきたしたため緊急入院となり手術を施行した.手術に先んじ大腿動静脈の確保を行い前側方切開にて開胸,腫瘍を切除した.腫瘍の大きさは最大径19 cm,重量は1780 gで病理診断は高分化型脂肪肉腫であった.脂肪肉腫は緩徐に増大することが多く,今回急速に増大した縦隔原発高分化型脂肪肉腫の1例を経験したので報告する.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.32.736