自然退縮を示した胸腺癌の一例

症例は69歳女性.5年前に15 mmの前縦隔腫瘍を指摘され経過観察となっていた.前胸部痛と咳嗽を主訴に受診し,胸部CTでは腫瘍径は31 mmと増大,周囲の炎症所見を認めた.2週間後の胸部CTでは腫瘍は19 mmへ縮小したが炎症を引き起こした原因は不明であり今後も再燃する可能性を考慮し手術方針とした.胸骨正中切開による胸腺右葉切除術を施行.病理組織所見では内部は壊死組織であったが辺縁に異型細胞を認め胸腺癌の診断であった.Surgical marginは陰性であったため追加治療なく経過観察中である.胸腺癌が縮小傾向を示した珍しい経過を経験した.当初は感染を合併した囊胞性疾患を疑ったが今回のようなケ...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 30; no. 5; pp. 550 - 554
Main Authors 水野, 潔道, 卜部, 憲和, 植松, 秀護
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 2016
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.30.550

Cover

More Information
Summary:症例は69歳女性.5年前に15 mmの前縦隔腫瘍を指摘され経過観察となっていた.前胸部痛と咳嗽を主訴に受診し,胸部CTでは腫瘍径は31 mmと増大,周囲の炎症所見を認めた.2週間後の胸部CTでは腫瘍は19 mmへ縮小したが炎症を引き起こした原因は不明であり今後も再燃する可能性を考慮し手術方針とした.胸骨正中切開による胸腺右葉切除術を施行.病理組織所見では内部は壊死組織であったが辺縁に異型細胞を認め胸腺癌の診断であった.Surgical marginは陰性であったため追加治療なく経過観察中である.胸腺癌が縮小傾向を示した珍しい経過を経験した.当初は感染を合併した囊胞性疾患を疑ったが今回のようなケースもあり安易に経過観察せず積極的に手術を勧める必要があると考えられた.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.30.550