後縦隔に発生した巨大脂肪肉腫の1切除例

症例は65歳,女性.咳嗽・発熱で近医を受診し,胸部X線で異常を指摘され当院紹介受診.胸部CT, MRIにて左胸腔に表面平滑で境界明瞭,内部に充実成分と脂肪成分の混在する分葉状の巨大腫瘍を認めた.経皮針生検にて確定診断に至らなかったが,間葉系腫瘍を疑い手術を施行した.腫瘍は横隔膜,胸壁とは癒着を認めず,縦隔胸膜および肺底部臓側胸膜に覆われており,後縦隔から発生したものと考えられた.腫瘍は下肺静脈周囲で肺下葉内へ進展しており,腫瘍摘出および下葉切除を施行した.腫瘍の重量は1580 gで病理診断は高分化型脂肪肉腫であった.術後追加治療は行わずに慎重に経過観察中である.脂肪肉腫は四肢の軟部組織や後腹膜...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 29; no. 7; pp. 884 - 889
Main Authors 椎名, 裕樹, 芳野, 充, 斎藤, 幸雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 2015
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.29.884

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Summary:症例は65歳,女性.咳嗽・発熱で近医を受診し,胸部X線で異常を指摘され当院紹介受診.胸部CT, MRIにて左胸腔に表面平滑で境界明瞭,内部に充実成分と脂肪成分の混在する分葉状の巨大腫瘍を認めた.経皮針生検にて確定診断に至らなかったが,間葉系腫瘍を疑い手術を施行した.腫瘍は横隔膜,胸壁とは癒着を認めず,縦隔胸膜および肺底部臓側胸膜に覆われており,後縦隔から発生したものと考えられた.腫瘍は下肺静脈周囲で肺下葉内へ進展しており,腫瘍摘出および下葉切除を施行した.腫瘍の重量は1580 gで病理診断は高分化型脂肪肉腫であった.術後追加治療は行わずに慎重に経過観察中である.脂肪肉腫は四肢の軟部組織や後腹膜にしばしば発生するが,縦隔原発例は稀である.後縦隔原発巨大脂肪肉腫の1例を経験したので報告する.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.29.884