再切除が奏功した若年者の再発悪性孤立性線維性腫瘍の1例―本邦術後再発症例の集計と検討

若年者に術後再発した悪性孤立性線維性腫瘍に対して,再切除で良好な経過が得られた症例を報告する.症例は22歳,女性.胸痛を主訴に当院を受診した.胸部CTで,右胸腔背側に長径11 cm大の充実性腫瘤を認めた.CTガイド下生検で確定診断は得られなかったが,画像所見から孤立性線維性腫瘍(SFT)を疑い手術を施行した.腫瘤は周囲に強固に癒着していたため,右肺下葉の一部,横隔膜,壁側胸膜を合併切除した.病理所見は悪性SFTの診断であった.術後1年で右胸壁に再発し,再手術(胸壁切除,右第10,11肋骨合併切除)を要したが,その後は経過観察で再手術後7年無再発生存を得ている.外科的治療はSFTの局所再発に対し...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 33; no. 4; pp. 453 - 459
Main Authors 松原, 慧, 川名, 伸一, 三竿, 貴彦, 青江, 基, 吉川, 武志
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 15.05.2019
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.33.453

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Summary:若年者に術後再発した悪性孤立性線維性腫瘍に対して,再切除で良好な経過が得られた症例を報告する.症例は22歳,女性.胸痛を主訴に当院を受診した.胸部CTで,右胸腔背側に長径11 cm大の充実性腫瘤を認めた.CTガイド下生検で確定診断は得られなかったが,画像所見から孤立性線維性腫瘍(SFT)を疑い手術を施行した.腫瘤は周囲に強固に癒着していたため,右肺下葉の一部,横隔膜,壁側胸膜を合併切除した.病理所見は悪性SFTの診断であった.術後1年で右胸壁に再発し,再手術(胸壁切除,右第10,11肋骨合併切除)を要したが,その後は経過観察で再手術後7年無再発生存を得ている.外科的治療はSFTの局所再発に対しても有用である.しかし,SFTは術後遠隔期に再発することがあり,長期間の経過観察が必要とされている.今回若年者の症例を経験し,特に胸膜SFTの術後再発に関して文献的考察を行う.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.33.453