S状結腸に2度の穿孔をきたした原発性アミロイドーシスの1例

症例は66歳,男性.2008年7月S状結腸穿孔にてS状結腸部分切除と,肛門側S状結腸を盲端として横行結腸双孔式人工肛門造設術を施行した.病理診断はS状結腸のアミロイドーシスによる穿孔であった.2009年10月腹痛を主訴に来院.S状結腸盲端穿孔による腹膜炎の診断にて緊急手術を施行した.S状結腸盲端の自動縫合器のstaple lineで弾け,穿孔をきたしていた.盲端部から下行結腸にかけて暗赤色に虚血性変化を示す部位が点在していたため,同部位を含む左半結腸切除を施行した.切除した結腸には前回手術と同様のアミロイド沈着を認め,ALアミロイド蛋白と同定され,消化管アミロイドーシスによる穿孔と診断した.消...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 71; no. 9; pp. 2388 - 2393
Main Authors 野村, 幸博, 小倉, 正治, 田中, 信孝, 松本, 尊嗣, 鈴木, 良夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2010
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.71.2388

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Summary:症例は66歳,男性.2008年7月S状結腸穿孔にてS状結腸部分切除と,肛門側S状結腸を盲端として横行結腸双孔式人工肛門造設術を施行した.病理診断はS状結腸のアミロイドーシスによる穿孔であった.2009年10月腹痛を主訴に来院.S状結腸盲端穿孔による腹膜炎の診断にて緊急手術を施行した.S状結腸盲端の自動縫合器のstaple lineで弾け,穿孔をきたしていた.盲端部から下行結腸にかけて暗赤色に虚血性変化を示す部位が点在していたため,同部位を含む左半結腸切除を施行した.切除した結腸には前回手術と同様のアミロイド沈着を認め,ALアミロイド蛋白と同定され,消化管アミロイドーシスによる穿孔と診断した.消化管アミロイドーシスは,多くは無症状で,穿孔として発見される例は比較的少ない.自験例では消化管へのアミロイド沈着によって,2回の穿孔をきたした興味深い症例であり,報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.71.2388