肺アスペルギルス症に対する術後抗真菌薬の必要性に関する検討

深在性肺真菌症である肺アスペルギルス症,特にアスペルギローマは根治術を期待できることから外科治療の適応とされている.しかし,肺アスペルギルス症の周術期の抗真菌薬投与に関しては一定のコンセンサスがなく,各施設の方針で行われているのが現状である.今回我々は過去8年間に肺アスペルギルス症に対して当院で手術を施行した13症例について検討を行い,術後抗真菌薬の投与の必要性について考察した.全症例で基礎疾患を有し,呼吸器疾患11症例,自己免疫疾患2例,悪性疾患4例であった.術前に抗真菌薬を投与された症例は5例で,術式は肺葉切除以上が4例,区域切除2例,部分切除7例.このうち10例で術後補助療法としての抗真...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 27; no. 7; pp. 805 - 811
Main Authors 最相, 晋輔, 清水, 克彦, 沖田, 理貴, 中田, 昌男, 平見, 有二, 前田, 愛, 湯川, 拓郎, 保田, 紘一郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 2013
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.27.805

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Summary:深在性肺真菌症である肺アスペルギルス症,特にアスペルギローマは根治術を期待できることから外科治療の適応とされている.しかし,肺アスペルギルス症の周術期の抗真菌薬投与に関しては一定のコンセンサスがなく,各施設の方針で行われているのが現状である.今回我々は過去8年間に肺アスペルギルス症に対して当院で手術を施行した13症例について検討を行い,術後抗真菌薬の投与の必要性について考察した.全症例で基礎疾患を有し,呼吸器疾患11症例,自己免疫疾患2例,悪性疾患4例であった.術前に抗真菌薬を投与された症例は5例で,術式は肺葉切除以上が4例,区域切除2例,部分切除7例.このうち10例で術後補助療法としての抗真菌薬の投与は行わなかった.術後観察期間は平均879日で,90日以上経過観察しえた12例において,術後再燃は認めておらず,術後補助療法としての画一的な抗真菌薬投与の必要性は低いものと考えられた.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.27.805