結腸に多発性腺腫と多発癌を併存し,遺伝性大腸癌が疑われた1例

症例は71歳,女性.めまいを主訴に来院し,腹部CT検査により小脳梗塞と診断され入院となった.貧血および便潜血陽性のため大腸内視鏡検査を施行し,上行結腸に進行癌および結腸全体に平坦型ポリープを多数認め,右結腸切除術を施行した.術後3カ月に残存大腸内視鏡検査を施行し,残存結腸に2個の粘膜下層浸潤癌および約10個の平坦型腺腫を認めた.上部消化管内視鏡検査では食道・胃・十二指腸に病変を認めなかった.初回手術の半年後に残存結腸全摘,回腸─直腸吻合を施行した.結腸病変の個数,形状,偏在から家族性多発性大腸腺腫(APC,MYH遺伝子の変異)もしくは遺伝性非ポリポーシス性大腸癌(hMLH1,hMSH2,hMS...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 69; no. 6; pp. 1447 - 1451
Main Authors 三木, 宏文, 田村, 茂行, 中平, 伸, 杉本, 圭司, 鈴木, 玲, 岡村, 修
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2008
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.69.1447

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Summary:症例は71歳,女性.めまいを主訴に来院し,腹部CT検査により小脳梗塞と診断され入院となった.貧血および便潜血陽性のため大腸内視鏡検査を施行し,上行結腸に進行癌および結腸全体に平坦型ポリープを多数認め,右結腸切除術を施行した.術後3カ月に残存大腸内視鏡検査を施行し,残存結腸に2個の粘膜下層浸潤癌および約10個の平坦型腺腫を認めた.上部消化管内視鏡検査では食道・胃・十二指腸に病変を認めなかった.初回手術の半年後に残存結腸全摘,回腸─直腸吻合を施行した.結腸病変の個数,形状,偏在から家族性多発性大腸腺腫(APC,MYH遺伝子の変異)もしくは遺伝性非ポリポーシス性大腸癌(hMLH1,hMSH2,hMSH6遺伝子の変異)を疑ったが,患者血液より抽出したDNAの解析ではいずれの遺伝子にもgermline mutationは検出されなかった.2回の切除標本を合計すると,進行癌1個,早期癌4個,腺腫15個を結腸に認め,家族性大腸腫瘍が疑われた1例を経験したので報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.69.1447