外傷性再建胃管胸腔瘻の1例

今回,我々は外傷性肋骨骨折による食道癌術後再建胃管胸腔瘻が原因の膿胸の1例を経験したので報告する.症例は72歳,男性.5年7ヵ月前に食道癌に対して食道切除及び後縦隔経路で胃管再建術が行われている.3週間前に転倒歴があり突然の右胸痛と呼吸困難で来院,両側多発肋骨骨折と両側外傷性血気胸による急性呼吸不全と診断された.両側胸腔ドレナージと人工呼吸器管理を行い,呼吸状態は改善したが右膿胸を発症した.CTと上部消化管造影で外傷性の胃管胸腔瘻と診断した.瘻孔部を直接縫合閉鎖したが,瘻孔再発を認めたため開窓術及び腸瘻造設を行った.その後,十分な栄養管理下に高気圧酸素療法を行った結果,良好な開窓部肉芽形成と瘻...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 34; no. 7; pp. 781 - 786
Main Authors 大﨑, 敏弘, 小林, 健一, 安田, 学, 西澤, 夏將, 福市, 有希子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 15.11.2020
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.34.781

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Summary:今回,我々は外傷性肋骨骨折による食道癌術後再建胃管胸腔瘻が原因の膿胸の1例を経験したので報告する.症例は72歳,男性.5年7ヵ月前に食道癌に対して食道切除及び後縦隔経路で胃管再建術が行われている.3週間前に転倒歴があり突然の右胸痛と呼吸困難で来院,両側多発肋骨骨折と両側外傷性血気胸による急性呼吸不全と診断された.両側胸腔ドレナージと人工呼吸器管理を行い,呼吸状態は改善したが右膿胸を発症した.CTと上部消化管造影で外傷性の胃管胸腔瘻と診断した.瘻孔部を直接縫合閉鎖したが,瘻孔再発を認めたため開窓術及び腸瘻造設を行った.その後,十分な栄養管理下に高気圧酸素療法を行った結果,良好な開窓部肉芽形成と瘻孔部治癒が得られた.良好な経口摂取も可能となり,入院後197日目(開窓術後145日目)で自宅退院となった.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.34.781