神経線維腫症I型に合併した肋間動脈破裂の一例

症例は76歳女性で,就寝中に誘因なく右胸痛を自覚し,当院に救急搬送された.胸部CTで右大量血胸と右第V肋間動脈からの血管外漏出を認めたため,直ちに緊急開胸術を施行した.開胸術を施行するも,出血部の血管や組織が非常に脆弱であり止血に難渋した.その対応として破綻した血管をPGAシートとシート型フィブリン糊を用いて圧迫止血した後,速やかに経皮的動脈塞栓術を追加した.術後再出血は認めず第9病日に退院した.病理所見や詳細な身体診察より神経線維腫症I型と診断した.神経線維腫症I型の血管破綻例では本例の如く,しばしばその血管脆弱性のため外科的止血処置に難渋するとされ,注意を要するとともに経皮的動脈塞栓術の適...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 29; no. 6; pp. 775 - 780
Main Authors 宮澤, 秀樹, 伊藤, 祥隆, 新納, 英樹, 嶋田, 喜文, 川向, 純
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 2015
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.29.775

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Summary:症例は76歳女性で,就寝中に誘因なく右胸痛を自覚し,当院に救急搬送された.胸部CTで右大量血胸と右第V肋間動脈からの血管外漏出を認めたため,直ちに緊急開胸術を施行した.開胸術を施行するも,出血部の血管や組織が非常に脆弱であり止血に難渋した.その対応として破綻した血管をPGAシートとシート型フィブリン糊を用いて圧迫止血した後,速やかに経皮的動脈塞栓術を追加した.術後再出血は認めず第9病日に退院した.病理所見や詳細な身体診察より神経線維腫症I型と診断した.神経線維腫症I型の血管破綻例では本例の如く,しばしばその血管脆弱性のため外科的止血処置に難渋するとされ,注意を要するとともに経皮的動脈塞栓術の適応を検討すべきである.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.29.775