肝外胆管に発生した同時性多発胆管癌の1例
患者は66歳,男性.腹痛,黄疸を主訴に来院し,経皮経肝胆道造影検査にて中部胆管に20mm長の狭窄像が認められ,その十二指腸側には2mm径の小隆起性病変が疑われた.中下部胆管癌の診断のもと,膵頭十二指腸切除術が施行された.切除標本では膵胆管合流異常症はなく,中部胆管に23×17mmの全周性平坦浸潤型腫瘤が認められたのと同時に,下部胆管にも12×6mmの全周性表面型腫瘤が確認された.病理組織学的に前者は深達度ssで低分化型を含む高分化型腺癌であり,後者は深達度fmの高分化型腺癌であった.所属リンパ節に転移はなかった.なお,両病変の間に組織学的に連続性がなく,両病変共に粘膜内に癌病変を認めることから...
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          | Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 70; no. 6; pp. 1825 - 1830 | 
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| Main Authors | , , , , , | 
| Format | Journal Article | 
| Language | Japanese | 
| Published | 
            日本臨床外科学会
    
        2009
     | 
| Subjects | |
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| ISSN | 1345-2843 1882-5133  | 
| DOI | 10.3919/jjsa.70.1825 | 
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| Summary: | 患者は66歳,男性.腹痛,黄疸を主訴に来院し,経皮経肝胆道造影検査にて中部胆管に20mm長の狭窄像が認められ,その十二指腸側には2mm径の小隆起性病変が疑われた.中下部胆管癌の診断のもと,膵頭十二指腸切除術が施行された.切除標本では膵胆管合流異常症はなく,中部胆管に23×17mmの全周性平坦浸潤型腫瘤が認められたのと同時に,下部胆管にも12×6mmの全周性表面型腫瘤が確認された.病理組織学的に前者は深達度ssで低分化型を含む高分化型腺癌であり,後者は深達度fmの高分化型腺癌であった.所属リンパ節に転移はなかった.なお,両病変の間に組織学的に連続性がなく,両病変共に粘膜内に癌病変を認めることから,肝外胆管に同時発生した多発癌と考えられた.近年,消化器管に発生した重複癌,多発癌の報告は多いが,肝外胆管に同時発生した重複癌または多発癌は稀である. | 
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| ISSN: | 1345-2843 1882-5133  | 
| DOI: | 10.3919/jjsa.70.1825 |