肺切除を回避できた一側胸腔全体を占拠するChronic expanding hematomaの1例

症例は49歳男性,主訴は呼吸困難.2011年から毎年職場検診で胸部異常影を指摘され,2015年に呼吸困難が増強し前医受診.精査で左胸腔内腫瘤を認め当院紹介となった.胸部CTで左胸腔内全体を占拠し,左肺を縦隔側に圧排する26×16 cmの腫瘤を認め,MRIのT2強調で内部はモザイクパターン,壁はバンド状の低信号を呈し,Chronic expanding hematomaが疑われた.手術は血行動態や出血時の迅速な心囊アプローチを考慮して胸骨正中切開で行った.腫瘤壁は肥厚して強固に壁側胸膜,肺と癒着していた.内部血腫を吸引除去して肋間開胸を追加,横隔膜との強固な癒着を剥離して左肺を温存,腫瘤を完全に...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 31; no. 6; pp. 771 - 777
Main Authors 三和, 健, 窪内, 康晃, 谷口, 雄司, 大島, 祐貴, 荒木, 邦夫, 中村, 廣繁
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 2017
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.31.771

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Summary:症例は49歳男性,主訴は呼吸困難.2011年から毎年職場検診で胸部異常影を指摘され,2015年に呼吸困難が増強し前医受診.精査で左胸腔内腫瘤を認め当院紹介となった.胸部CTで左胸腔内全体を占拠し,左肺を縦隔側に圧排する26×16 cmの腫瘤を認め,MRIのT2強調で内部はモザイクパターン,壁はバンド状の低信号を呈し,Chronic expanding hematomaが疑われた.手術は血行動態や出血時の迅速な心囊アプローチを考慮して胸骨正中切開で行った.腫瘤壁は肥厚して強固に壁側胸膜,肺と癒着していた.内部血腫を吸引除去して肋間開胸を追加,横隔膜との強固な癒着を剥離して左肺を温存,腫瘤を完全に切除した.手術時間7時間,出血103 ml.経過から適切なアプローチを選択し,肺温存により呼吸機能は著明に改善できた意義は大きかった.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.31.771