サイトメガロウイルス感染を合併したS状結腸癌による閉塞性大腸炎の1例

閉塞性大腸炎は大腸の閉塞病変の口側にびらんや潰瘍などが生じる非特異的炎症性疾患であるが,閉塞病変のために術前診断は困難とされる.今回われわれは,術前診断に難渋した閉塞性大腸炎合併S状結腸癌の1例を経験したので報告する.症例は64歳,男性.便秘・腹痛,高度貧血で前医入院中に,敗血症性ショックになり転院搬送,人工呼吸器管理となった.全身検索を行うもスコープが通過する程度の狭窄を伴うS状結腸癌以外には明らかな疾患はなかった.耐術可能となった緊急入院後60日目に手術を行った.術中所見で,横行結腸中央部の漿膜面まで閉塞性大腸炎を疑う所見があり,同部位まで切除範囲に含めて拡大結腸左半切除術を行った.病理結...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 72; no. 8; pp. 2084 - 2087
Main Authors 稲田, 健太郎, 井上, 暁, 関澤, 健太郎, 志田, 大, 蕨, 雅大, 梅北, 信孝
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2011
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.72.2084

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Summary:閉塞性大腸炎は大腸の閉塞病変の口側にびらんや潰瘍などが生じる非特異的炎症性疾患であるが,閉塞病変のために術前診断は困難とされる.今回われわれは,術前診断に難渋した閉塞性大腸炎合併S状結腸癌の1例を経験したので報告する.症例は64歳,男性.便秘・腹痛,高度貧血で前医入院中に,敗血症性ショックになり転院搬送,人工呼吸器管理となった.全身検索を行うもスコープが通過する程度の狭窄を伴うS状結腸癌以外には明らかな疾患はなかった.耐術可能となった緊急入院後60日目に手術を行った.術中所見で,横行結腸中央部の漿膜面まで閉塞性大腸炎を疑う所見があり,同部位まで切除範囲に含めて拡大結腸左半切除術を行った.病理結果は,SE,N1(1/58)で,H0,M0,P0,f Stage IIIaであった.癌の口側に広汎に閉塞性大腸炎を認め,その潰瘍部位に核内封入体を認めた.サイトメガロウイルス感染の合併が重症化の一因と考えられた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.72.2084