異常血管切除のみを行なった肺底動脈大動脈起始症の1例

症例は,50歳代の女性.健康診断で左下肺野に心陰影と重なる辺縁整な腫瘤影を指摘された.胸部造影CTおよびThree-dimensional CTで胸部下行大動脈から分岐し,左肺底区に直接流入する最大径8.5 mmの異常血管を認めた.左下葉は正常肺であり,明らかな分画肺は認められなかった.以上より肺底動脈大動脈起始症(Pryce I型)と診断した.異常血管の分布環流域がほぼ限局していた為,胸腔鏡下に自動縫合機を用いて,異常血管切除のみを施行した.術後6ヵ月後の胸部造影CT上,異常血管の分布環流域における肺静脈の流量減少を認めた.比較的稀な肺底動脈大動脈起始症(Pryce I型)に対し,異常血管切...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 34; no. 6; pp. 635 - 641
Main Authors 村松, 高, 竹下, 伸二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 15.09.2020
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.34.635

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Summary:症例は,50歳代の女性.健康診断で左下肺野に心陰影と重なる辺縁整な腫瘤影を指摘された.胸部造影CTおよびThree-dimensional CTで胸部下行大動脈から分岐し,左肺底区に直接流入する最大径8.5 mmの異常血管を認めた.左下葉は正常肺であり,明らかな分画肺は認められなかった.以上より肺底動脈大動脈起始症(Pryce I型)と診断した.異常血管の分布環流域がほぼ限局していた為,胸腔鏡下に自動縫合機を用いて,異常血管切除のみを施行した.術後6ヵ月後の胸部造影CT上,異常血管の分布環流域における肺静脈の流量減少を認めた.比較的稀な肺底動脈大動脈起始症(Pryce I型)に対し,異常血管切除のみで良好な経過を経験したので,診断,術式について若干の文献的考察を加え報告する.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.34.635