特異な経過を示した胸膜原発malignant solitary fibrous tumorの2例

Solitary fibrous tumor(SFT)は,間葉系細胞由来の稀な腫瘍である.今回,特異な経過を示した悪性SFTの2例を経験した.症例1は70歳代,女性.X-8年より左胸腔内の腫瘤影を経過観察されていたが,X-1年から突如急速な増大傾向を認めた.X年,開胸下に腫瘍切除を施行した.胸膜上に無数の結節を認め,完全切除は困難であった.病理組織学的検査で悪性SFTと診断された.症例2は60歳代,女性.Y年に右肺腫瘍に対して右中葉+底区域切除を施行し,病理組織学的検査で悪性SFTと診断された.またY+3年に急性胆囊炎で胆囊摘出を施行したところ,胆囊内腫瘍を認め,同様にSFTと診断された.さら...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 35; no. 4; pp. 355 - 362
Main Authors 松浦, 求樹, 久保, 友次郎, 中村, 龍二, 牧, 佑歩, 岡田, 和大, 藤原, 俊哉
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 15.05.2021
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.35.355

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Summary:Solitary fibrous tumor(SFT)は,間葉系細胞由来の稀な腫瘍である.今回,特異な経過を示した悪性SFTの2例を経験した.症例1は70歳代,女性.X-8年より左胸腔内の腫瘤影を経過観察されていたが,X-1年から突如急速な増大傾向を認めた.X年,開胸下に腫瘍切除を施行した.胸膜上に無数の結節を認め,完全切除は困難であった.病理組織学的検査で悪性SFTと診断された.症例2は60歳代,女性.Y年に右肺腫瘍に対して右中葉+底区域切除を施行し,病理組織学的検査で悪性SFTと診断された.またY+3年に急性胆囊炎で胆囊摘出を施行したところ,胆囊内腫瘍を認め,同様にSFTと診断された.さらにY+4年,右後腹膜腫瘍に対して腫瘍摘出を行ったところ,同様にSFTと診断された.SFTは多彩な病態を呈することを念頭に,手術の検討あるいは厳重な経過観察が必要と思われた.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.35.355