乳癌術後胸骨再発に対する胸骨亜全摘の1例

症例は57歳女性.左乳癌術後13年目に前胸部腫瘤を自覚して来院した.造影CTで胸骨体部に70 mm大の腫瘤を認め,穿刺吸引細胞診にて乳癌術後再発と診断された.PET/CT,造影MRIにて胸骨柄に非連続の骨転移病変と右傍胸骨リンパ節腫大を認めた.胸骨に限局した再発と考えられたため手術適応とした.胸骨亜全摘+メチルメタクリレートマーレックスメッシュによる再建を施行した.術後奇異性呼吸もなく安定していたが,術後19日に補填物裏面の浸出液貯留でドレナージが必要になった.感染の兆候もなく,術後37日で退院となった.また永久標本で胸骨柄の病変からのマージンが不十分で,切除断端陽性となった.現在術後2年経過...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 27; no. 6; pp. 742 - 747
Main Authors 吉田, 幸弘, 田中, 信孝, 長山, 和弘, 松本, 順
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 2013
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.27.742

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Summary:症例は57歳女性.左乳癌術後13年目に前胸部腫瘤を自覚して来院した.造影CTで胸骨体部に70 mm大の腫瘤を認め,穿刺吸引細胞診にて乳癌術後再発と診断された.PET/CT,造影MRIにて胸骨柄に非連続の骨転移病変と右傍胸骨リンパ節腫大を認めた.胸骨に限局した再発と考えられたため手術適応とした.胸骨亜全摘+メチルメタクリレートマーレックスメッシュによる再建を施行した.術後奇異性呼吸もなく安定していたが,術後19日に補填物裏面の浸出液貯留でドレナージが必要になった.感染の兆候もなく,術後37日で退院となった.また永久標本で胸骨柄の病変からのマージンが不十分で,切除断端陽性となった.現在術後2年経過し右腋窩リンパ節再発が疑われ,外来化学療法+ホルモン療法継続中である.広汎胸骨切除および再建に際しては,腫瘍から3 cm以上の十分なマージンの確保と補填物周囲の浸出液の適切なドレナージと管理が必要である.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.27.742