下行結腸癌により脾膿瘍, 敗血症をきたした1例
脾膿瘍は比較的稀な疾患であるが, 今回われわれは結腸癌が脾臓近傍まで浸潤し脾膿瘍を形成した症例を経験したので報告する. 症例は72歳の男性. 発熱にて来院し, 血液検査にて貧血, 白血球増多, CRP上昇を認め血液培養陽性で敗血症の診断にて入院となった. 腹部超音波検査, 腹部CT検査にて脾膿瘍を認めた. 大腸内視鏡検査にて下行結腸脾彎曲部に2型の腫瘍を認めた. 下行結腸癌穿通による脾膿瘍, 膵浸潤の術前診断で下行結腸, 横行結腸部分切除術, 脾臓摘出術, 膵尾部合併切除術を施行した. 摘出標本では, 病理組織学的には膵浸潤を認め, 脾臓近傍まで癌が浸潤し, 脾膿瘍が確認された. 本症例のよう...
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Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 68; no. 5; pp. 1295 - 1299 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
2007
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Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
DOI | 10.3919/jjsa.68.1295 |
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Summary: | 脾膿瘍は比較的稀な疾患であるが, 今回われわれは結腸癌が脾臓近傍まで浸潤し脾膿瘍を形成した症例を経験したので報告する. 症例は72歳の男性. 発熱にて来院し, 血液検査にて貧血, 白血球増多, CRP上昇を認め血液培養陽性で敗血症の診断にて入院となった. 腹部超音波検査, 腹部CT検査にて脾膿瘍を認めた. 大腸内視鏡検査にて下行結腸脾彎曲部に2型の腫瘍を認めた. 下行結腸癌穿通による脾膿瘍, 膵浸潤の術前診断で下行結腸, 横行結腸部分切除術, 脾臓摘出術, 膵尾部合併切除術を施行した. 摘出標本では, 病理組織学的には膵浸潤を認め, 脾臓近傍まで癌が浸潤し, 脾膿瘍が確認された. 本症例のように結腸癌の穿通による脾膿瘍が疑われる場合は手術による切除が第一選択と考えられる. |
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ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.68.1295 |